(写真はZehllaw.comから引用)
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< 施設の概要 >
■ 事故があったのは、ミシシッピ州(Mississippi)ウェイン郡(Wayne
County)にあるテルース・オペレーティング・グループ社(Tellus Operating Group LLC)の油井設備である。
■ 発災があったのは、フレッド・ウェスト通り(Fred
West Road)とガットリン通り(Gatlin Road)の交差点近くにある石油採掘現場の石油貯蔵タンクである。
ウェイン郡のフレッドウェスト通りとガットリン通りの交差点付近
(写真はGoogleMapから引用)
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< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2019年9月20日(金)午前8時20分頃、2基の石油貯蔵タンクが爆発し、火災となった。
■ 事故に伴い、ひとりが死亡した。タンクが爆発したとき、現場には5名の作業員がいた。この中のふたりはテルース・オペレーティング・グループ社の下請け会社の作業員で、このうちのひとりが亡くなった。
■ 発災に伴い、消防署が出動した。消防隊が現場へ到着したとき、火災近くの木が生い茂ったエリアにも広がっていたが、消火活動によって約30分後に鎮火させた。
■ 9月21日(土)、ミシシッピ州環境品質局は、一部の油が封じ込めエリアから漏れ出ているのを発見した。水源は汚染されておらず、数日でクリーンアップ作業は完了できるとのことである。
被 害
■ 貯蔵タンクが2基損壊し、内部の原油が焼失した。被災の程度や量は不詳である。
■ 事故に伴い、1名の死亡者が出た。
■ 原油貯蔵タンクの封じ込めエリアから一部油が漏れ出て、クリーンアップを行った。
< 事故の原因 >
■ 原因は分かっていない。
< 対 応 >
■ 緊急事態対応に対処した機関は、ウェイン郡ボランティア型消防署、ウェイン郡緊急管理局、ウェイン郡保安官事務所、ウェイン総合病院、ウェインズボロ消防署、ミシシッピ州環境品質局、ミシシッピ州石油・ガス委員会、ジョーンズ郡ボランティア型消防署、パワーズ消防・救急隊、ウェイン郡検視局、ジョーンズ郡緊急管理局・緊急救急サービスである。
(写真はWlox.comから引用)
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補 足
■「ミシシッピ州」(Mississippi)は、米国南東部に位置し、一部メキシコ湾に接しており、人口約299万人の州である。
「ウェイン郡」(Wayne County)は、ミシシッピ州の南東部に位置し、人口約20,300人の州である。
ミシシッピ州と周辺の州 (写真はGoogleMapから引用)
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■「テルース・オペレーティング・グループ社」(Tellus
Operating Group LLC)は、原油・天然ガスの探査・開発・生産を行っているエネルギー会社で、ミシシッピ州リッチランドに本拠を置き、主にミシシッピ州とルイジアナ州で11箇所の油田で400を超える油井を操業している。
テルース・オペレーティング・グループ社のミシシッピ州における原油・天然ガス開発地区
(矢印が発災現場近くの油田) (図はTellusoperating.comから引用)
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テルース・オペレーティング・グループ社のタンク設備と油井設備の例
(写真はTellusoperating.com
から引用)
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■「発災タンク」の大きさなどの仕様は分かっていない。事故のあったウェイン郡のフレッド・ウェスト通りとガットリン通りの交差点近くの石油採掘現場の石油貯蔵タンクだという。グーグルマップで調べると、同場所付近には工事中の更地があるのみで、貯蔵タンクはない。グーグルマップ撮影以降に設備が建設されたものと思われる。
所 感
■ 爆発・火災の原因は分かっていない。しかし、現場には、発災事業所のテルース・オペレーティング・グループ社の従業員3名のほか、下請け会社の作業員2名がいたことを考えれば、タンクの工事中における事故ではないだろうか。そうであれば、米国CSB(化学物質安全性委員会)がまとめた「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」(2011年7月)のつぎの項目のいずれかが欠けていたと思われる。
①代替方法の採用、 ②危険度の分析、 ③作業環境のモニタリング、
④作業エリアのテスト、⑤着工許可の発行、⑥徹底した訓練、⑦請負者への監督
● 2012年7月、「米国オハイオ州でタンクが爆発して死者1名」
● 2014年10月、「米国ワイオミング州シャイアンでタンク爆発して死者1名」
● 2016年8月、「米国テキサス州の原油貯蔵施設で工事中にフラッシュ・ファイヤー、7名負傷」
● 2017年5月、「米国コロラド州の油井施設で原油タンクが爆発して死傷者4名」
● 2017年9月、「米国ニューメキシコ州の石油施設で爆発・火災、死者3名」
● 2018年7月、「米国ニューメキシコ州の油井用貯蔵施設で爆発・火災、死傷者2名」
● 2018年10月、「米国コロラド州で工事作業中にタンク爆発・火災、負傷者3名」
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Wlox.com, One killed in Wayne County oil tank explosion,
September 20, 2019
・Apnews.com, Oil
cleanup continues after fatal storage tank explosion, September 25, 2019
・Zehllaw.com, Mississippi Oilfield Explosion Tragically
Kills Wayne County Contractor, September 20, 2019
・Clarionledger.com, 1 person dead following Mississippi
tank explosion, September 20, 2019
・Forthepeople.com, MISSISSIPPI OIL TANK EXPLOSION KILLS ONE, September 24,
2019
後 記: ミシシッピ州のタンク事故を伝えるのは初めてです。しかし、事故状況を詳細に伝える記事はなく、被災写真もありません。発災場所が住居地区から離れていることもあるかも分かりませんが、ひとりが亡くなっているのも関わらず、地元に関心がないのでしょうか。ミシシッピ州あるいはウェイン郡という土地柄なのでしょうか。地元の大企業の失敗に遠慮(忖度)しているのではないかと思ってしまいます。地元自治体は、爆発と死亡者発生ということで関係機関が総出しているようですが、発災事業所のテルース・オペレーティング・グループ社からは死者に対する哀悼の意すら発表していません。何か違和感の残る事故情報でした。
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