2024年2月15日木曜日

燃焼を制御して火災の煤煙を減少させる新しい方法

 今回は、20242月にカナダのアルバータ州で火災から出る煤煙を減少させる方法について実験を行っていることについて紹介します。

< はじめに >

■ 2024130日(火)に起こったカナダのアルバータ州にある原油生産施設でタンク4基が火災になった事故があったが、この現場から数分のところで、研究者と消防士が火災から出る煤煙を減少させる方法を実験していた。研究者たちは20242月初めにバーミリオンの町はずれに集まり、油流出事故で燃えている油の煤煙を減少できる新しい技術をテストしていた。

< 火災の煤煙を軽減する技術 >

■ 131日(水)、消防士らはディーゼル燃料に点火して火災を発生させた後、カナダのケベック州にある企業のドラゴーISIDrago-ISIが開発した消火砲を使用してアルカリ性添加剤を含む水を噴霧した。マール・コンサルティングMerl Consultingのブライアン・ミッチェル氏Brian Mitchellは、「私たちの考え方は炎の中で煤煙(すす)を燃やして、煤煙が炎の外に出て煙柱を形成しないようにするということです」といい、「添加剤が帯電した煤煙粒子(すす粒子)を中和するため、煤煙粒子は成長して大きくなるのではなく、小さいままで燃え尽きます」と語る。

■ 研究者らは、消火砲による強力な水の噴霧流が立ち昇る煤煙を抑えているように見える光景を撮影し、写真に収めた。研究は初期段階にあるが、ミッチェル氏は煙が消えていくのを見て興奮したと語った。21日(木)には、別の材料を使用したテストが行われた。

■ ミッチェル氏と彼の妻である研究者のアンカ・フロレスクーミッチェル氏Anca Florescu-Mitchellは、アルバータ州での実験に参加するため、フランスのレンヌRennesにある自宅からカナダへ渡った。彼らは、カナダのエドモントン市にあるレイクランド大学Lakeland Collegeの科学者メルブ・フィンガス氏Merv Fingasと米国のコンサルタントのカート・ハンセン氏Kurt Hansenと協力してこの研究プロジェクトに取り組んでいる。この研究プロジェクトは、カナダ天然資源省のマルチパートナー研究イニシアチブNatural Resources Canada‘s Multi-Partner Research Initiativeから25万ドル(2,750万円)、研究パートナーから25万ドル(2,750万円)の資金提供を受けている。

< ドラゴーISI社(Drago-ISI)の消火砲 >

■ カナダのドラゴーISIDrago-ISIは、 2008 年に設立され、消火設備の開発・設計・製造を専門とする会社である。同社のドラゴ” Dragoと呼ばれる消火砲は、水/空気/消火剤の分散や放射を制御する機能を有し、効率が優れ、水の使用を最適化し、対応時間の改善が図れるという。

■ 130日(火)の夜、ミッチェル夫妻は、アルバータ州の原油生産施設における火災の煙によって大気汚染警報が発令されたことを携帯電話で知った。住民には自宅に退避して避難の準備を行うよう呼び掛けられたが、その夜遅くに警報は解除された。「もし実験で使用した消火砲と特別な添加剤があったなら、実際の油火災でテストできており、本当に興味深かっただろう」とミッチェル氏は語っている。原油生産施設の火災は午前中に発生し、鎮火するまでに半日かかった。火災の原因はまだ調査中である。

 注記;2024130日(火)の事故は「カナダのアルバータ州の原油生産施設でタンク火災と堤内火災」を参照。

< 今後の予定 >

■ レイクランド大学緊急訓練センターLakeland College‘s Emergency Training Centreの主任であるウェイン・ローズ氏Wayne Roseは、火災をよりクリーンに燃焼させることで煤煙の除去に役立ち、消火活動を容易にし、大気汚染を軽減できると語っている。「この研究から我々が学べることはたくさんある。もちろん、この種のテクノロジーがあれば、将来火災と戦うために役立つだろう」とローズ氏は語った。

■ 研究者らは研究結果を科学雑誌に発表する予定で、ミッチェル氏は20245月に米国ルイジアナ州のニューオーリンズで開催される国際油流出会議International Oil Spill Conferenceでこのプロジェクトに関する論文を発表する。

所 感

■ 燃焼を制御して火災の煤煙を減少させる方法という興味深い実験である。偶然であろうが、カナダのアルバータ州にある原油生産施設で発生した火災の煤煙の状況を見ると、研究の目的が理解できる。このような火災は海外での話で日本ではないだろうと思う人もいるかも知れないが、 20187月に起こった「多摩市の建設中のビルでウレタン製断熱材の火災、死傷者48名」の事故では、猛烈な煙による大きな災害が起こっている。

■ 今回の実験で使用されたドラゴ-ISI社の消火砲ドラゴを見て思ったのは、煤煙を減少させるために用いられたようであるが、石油タンクの堤内流出時に油面を覆うのにも活用できるのではないだろうか。通常の泡モニターでは、中発砲の泡で消えるのが速く、高発砲泡の泡モニターが必要であるが、水/空気/消火剤の分散や放射を制御する機能がある消火砲ドラゴであれば、高発砲の泡を放出できそうである。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Cbc.ca, Testing new ways of reducing smoke emissions from controlled burns, February 02, 2024

    Drago-isi.com,  About, February 13, 2024


後 記: 今回の情報は「カナダのアルバータ州の原油生産施設でタンク火災と堤内火災」の事故を調べていて、カナダのメディアCBCが事故のニュースを報じていましたが、別な記事で伝えているのをたまたま知ったからです。ドラゴーISI社の消火砲ドラゴも興味ある消火砲です。これを芋づる式というのでしょうね。


 

0 件のコメント:

コメントを投稿