2025年2月28日金曜日

韓国のターミナルでタンクの試料採取中にタンク爆発して死傷者2名

 今回は、2025210日(月)、韓国の蔚山市にあるユナイテッド・ターミナル・コリア社のタンクターミナルにおいて、タンク内液の試料採取中にタンクが爆発して火災となり、死傷者2名を出した事例を紹介します。なお、この火災には大容量泡放射砲が使用され、消火しています。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国南東部の蔚山市(ウルサン・し)蔚州郡(ウルジュ・ぐん)温山(オンサン)にあるユナイテッド・ターミナル・コリア社(United Terminals Korea; UTK)のタンクターミナルである。

■ 事故があったのは、タンクターミナルにある容量2,500KLのオイル貯蔵タンクである。内液はソルベートで塗料やインクなどを生産時に希釈剤として使用されるアルコールとエーテル成分の引火点が低い危険物質である。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2025210日(月)午前11時過ぎ、オイル貯蔵タンクが爆発し、火災になった。

■ 爆発直後に火災が発生し、黒煙が広がり、蔚山消防本部には通報電話が20件以上寄せられた。発災現場から直線距離で10km以上離れた蔚山の都心でも黒い煙が目撃された。

■ 発災にともない、消防隊が出動した。消防隊員58人と消防車など装備23台を動員して初期対応に乗り出したが、火災の状況が激しく、人員93人、装備40台を動員して制圧を試みた。爆発・火災のあったタンク周辺には潤滑油、バイオディーゼル、トルエンなどが貯蔵されたタンクがあり、消防隊は火災が拡散しないように全力を注いだ。

■ 蔚山海洋警察庁は、火災制圧を支援するために特殊艇、救助艇、消防艇などを動員した。また、近くの船舶が安全場所に移動するように措置し、汚染物質の海上流出に備えてオイルフェンスを設置した。

■ 爆発によってタンクの屋根が外れて噴き飛んだ。事故にともない、貨物検定業者の作業員2名(いずれも30歳代)が負傷し、病院に搬送された。そのうち、ひとりは意識不明の状態で病院で手術を受けたが、午後3時頃に死亡した。もうひとりは、足首骨折などの重傷を負ったが、命には支障がないという。

■ 作業員は、ユナイテッド・ターミナル・コリアからの請負者で、タンク内部の製品残量と品質を確認する作業をしていた。作業員は、高さ14.6mのタンクの上部でサンプリング用ハッチ(蓋)を開けて内部を確認していたところ、異常を感じて逃げようとしていたという。避難の過程で墜落したとみられる。作業員は火災になったタンクのそばの地上部に倒れたまま発見された。当時、意識があった作業員のひとりは「タンクのサンプリング用ハッチを開けた瞬間、火災の兆候が見られ、すぐに逃げた」と当時の状況を説明している。

■ 発災当時、容量2,500KLのタンク内には、引火性の高い石油混合製品を約1,600KL保管中だった。

■ 蔚州郡は事故から25分後の午前1140分、災害安全メールを送り、「車両は建物周辺の道路を迂回して下さい」と呼びかけた。蔚山警察庁も交通警察官などを現場周辺に配置し、安全管理や交通統制などを行った。

■ ユーチューブでは、タンク火災のニュースや動画が投稿されている。主なものはつぎのとおり。なお、韓国版を日本語字幕への変え方については、当ブログの「米国化学物質安全性委員会(CSB)の新たな安全ビデオの日本語字幕」(202524日)を参照。

 Youtube「유류 탱크 폭발로 불기둥 치솟아2명 사상 / KBS2025/02/10

 ●Youtube「울산 온산공단 유류 저장탱크 폭발 후 화재1명 사망·1명 중상 / 연합뉴스TV2025/02/10

 ●Youtube「온산공단 유류탱크 폭발 화재..2명 사상2025/02/10

被 害 

■ タンク1基が損傷し、内部の液が一部焼失した。

■ 死傷者2名が出た。内訳は死亡者1名、重傷者1名である。 

■ 近くの道路や海上の交通が制限された。

< 事故の原因 >

■ タンク爆発の原因は、作業員の試料採取中、サンプリング・ロッド(採取棒)がタンクとの接触で生じた火花のために発生したという。詳細な原因は調査中である。

< 対 応 >

■ 人材・資機材を増強した消防隊は、人員237人、ヘリコプターを含む消防車両などの装備機材48台を投入した。火災は、約3時間後の午後219分に鎮火した。特に、午後1時過ぎに設置した大容量泡放射砲による消火活動が有効だった。

 蔚山に保有する大容量泡放射砲は2基あり、1基は放射能力45,000リットル/分で、もう1基は30,000リットル/分で、放射距離は最大130mだった。2基合計の放射能力は75,000リットル/分である。

■ 大容量泡放射砲は別な場所から約40分で到着し、発災から1時間30分後の午後19分に水性膜泡消火剤を放射し、約25分で火災は収まった。

 消防当局などが正確な火災原因を調査している。

■ 警察は負傷者への聴き取り調査よって、タンク爆発の原因について、作業員の試料採取中、真鍮製のサンプリング・ロッド(採取棒)がタンクとの接触で生じた火花のために発生したことがわかった。また、作業員は静電気の発生を防止する除電服を着用していたという。

■ 2025217日(月)、 蔚山海洋警察署は、国立科学捜査研究院、雇用労働部、産業安全保健公団、国立災害事故調査室などとともに、午前11時から午後1時までの2時間、タンク爆発現場での合同調査を行った。事故タンクと爆発で外れたタンク屋根部などを集中的に調べた。また、現場の捜索を通じて作業者が事故時に使用していたサンプリング・ロッド(試料採取棒)を回収した。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,170万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「蔚山市」(グァンヨク・シ、うるさん・し)は、韓国南西部にあり、人口約110万人の広域都市である。

「蔚州郡」(ウルチュ・グン、ウルジュ・ぐん)は、蔚山市にあり、人口約21万人の郡である。

■「ユナイテッド・ターミナル・コリア社」 (United Terminals Korea; UTK)は、1998年に設立した韓国系の物流会社で、ガソリン・灯油・軽油など石油製品や化学製品などの液体貨物の荷役、入荷、保管、出荷など業務を行っている。ユナイテッド・ターミナル・コリア社は、タンク64基、総容量468,450KLを保有する。

■「発災タンク」は、容量2,500KLのオイル貯蔵タンクで、高さ14.6mと報じられている。内液はソルベートで塗料やインクなどを生産時に希釈剤として使用されるアルコールとエーテル成分の引火点が低い危険物質だという。グーグルマップで調べると、発災タンクは固定屋根式で直径約14.5mである。高さを14.6mとすれば、容量は2,575KLとなり、報じられている容量に近い。

 発災タンクの屋根は爆発によって外れて飛んだが、被災写真を見ると、爆発後には隣接するタンクの階段部に引っかかって宙に浮く形になっている。事故後の写真では地面に移動している。火災の熱によりタンク側板の上部が座屈して、タンク屋根は落下したものと思われる。

■「大容量泡放射砲」は、ほとんどが放射能力75,000リットル/分と報じている。しかし、1社だけ大容量泡放射砲は2基あり、1基は放射能力45,000リットル/分で、もう1基は30,000リットル/分で、放射距離は最大130mだと修正した。

 2基合計の放射能力が75,000リットル/分となるが、日本の法令であれば直径100m級のタンクに必要な放射能力である。発災タンクの直径は約14.5mであり、大容量泡放射砲は必要なく、三点セット(放水能力3,000リットル/分)でよいことになっている。今回の火災では、 1基のみの対応であったが、放射能力45,000リットル/分と30,000リットル/分のいずれを使用したかわからない。いずれもタンクに対して過剰な能力であり、仮に放射能力30,000リットル/分の大容量泡放射砲を使用した場合、20分間で600KLの泡消火水がタンクに投入されることになる。これは発災タンクの液位を3.5m上昇させることになる。

■ 一方、発災タンクの被災写真を見ると、タンク付きの「泡消火設備」とタンク側板への「散水設備」が設置されている。これらの設備は他のタンクにも見られる。しかし、これらの設備が発災時に使用された形跡が無い。日本では、泡発砲器や泡薬剤槽がタンクに近いところに恒設されているが、海外ではタンク付きの配管は設置されているが、消防車の泡を導入する半消火設備の形式が多い。

■ 事故時に使用して事故後に回収された「サンプリング・ロッド」(試料採取棒)の形状は明確でないが、一般的なサンプリング・ロッドは写真のような器具である。

所 感

■ 詳細な原因は調査中であるが、タンク爆発の原因は、作業員の試料採取中、サンプリング・ロッド(採取棒)がタンクとの接触で生じた火花のために発生したと報じられている。しかし、事故状況の報道では、作業員は静電気の発生を防止する除電服を着用し、火花の出ない真鍮製のサンプリング・ロッド(採取棒)を使用しており、作業上の静電気対策や打撃による火花発生防止対策はできている。しかし、爆発が起こっており、タンクの試料採取方法や採取前のタンクの運転管理について精査が必要な事例である。

■ 消火活動は約3時間かかっているが、大容量放射砲の到着に約40分かかり、大容量放射砲の配置やホース接続などで時間を費やし、発災から1時間30分後の午後19分に大容量放射砲で消火剤を放射し、約25分で火災を制圧している。この時間消費は遅くはないと思う。

■ しかし、消防活動にはつぎのような疑問が残る。

 ● タンクには恒設の泡消火設備や散水設備が付いているが、なぜ使用しなかったのか。

 ● スクワート車やはしご車で放水したものとみられるが、消火戦略がはっきりしない。

 ● 消火ヘリコプターが使用されているが、タンク火災には効果的でないのはわかっていたはずで、消火戦術がはっきりしない。

 ● 泡薬剤として水性膜泡消火剤を使用しているが、PFOS(通称ピーホス)と呼ばれる有機フッ素化合物の環境問題がある。泡消火水は構内から出さないようにしたか、また泡消火水は回収して処分する必要があり、この配慮は成されたのか。注;PFOSや泡薬剤については、ブログ「沖縄の米軍普天間飛行場の泡消火剤流出事故(原因)」 20209月)を参照。

 ● 使用された大容量泡放射砲(放射能力45,000リットル/分または30,000リットル/分)は直径14.5m級(容量2,500KL)のタンクには過剰能力であるが、放射流量を調整したのか。

 ● 大容量泡放射砲が使われている際、まだタンク火災が収まっていないのに、まわりに関係者でない人(興味や関心ある人と思われるが)が大勢集まり過ぎている。ボイルオーバーやスロップオーバーなどのリスクはどう判断したのか。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       News.yahoo.co.jp,  韓国・蔚山でオイル貯蔵タンクが爆発 作業員1人死亡,  February  10,  2025

       Mk.co.kr, 蔚山の温山工業団地で発生した油類貯蔵タンクの爆発·火災事故,  February  10,  2025

       Hani.co.kr,  울산 UTK 유류 탱크 화재노동자 1명 사망,  February  10,  2025

       Yna.co.kr,  울산 온산공단 유류탱크 폭발·화재2명 사상(종합3),  February  10,  2025

       Haesanews.com, UTK탱크터미널 폭발사고/ 울산 유류탱크 폭발, 1명 사망·1명 중상해경, 화재 원인 조사(종합3) ,  February  11,  2025

       Khan.co.kr,  울산 온산공단서 유류 저장탱크 폭발로 화재1명 사망·1명 중상,  February  10,  2025

       Ksilbo.co.kr,  [현장 사진]17일 발생한 유나이티드터미널코리아(UTK) 유류 저장탱크 폭발·화재 현장,  February  17,  2025

       Donga.com,  울산 온산공단 유류탱크 폭발 화재옆 탱크 번질 뻔 아찔,  February  11,  2025 

       S-journal.co.kr, '' 소리와 함께 불기둥 울산 유나이티드터미널코리아 유류 저장탱크 폭발,  February  10,  2025

       News.sbs.co.kr, "탱크 뚜껑 열릴 정도" 굉음 나더니 폭발긴박했던 순간 ,  February  11  2025

       Seoul.co.kr, “시료 채취 중 스파크 발생”… 울산 유류탱크 폭발사고 부상자 진술,  February  17,  2025

       Chosun.com, 울산 온산공단 내 유류탱크 폭발...부상자 2명 중 1명 숨져,  February  10,  2025

       Joiff.com,  Tank explosion at Ulsan's United Terminal Korea kills one worker, injures another,  February  10,  2025

       Joiff.com,  韓国で石油貯蔵タンク爆発、1人死亡、1人負傷,  February  12,  2025

       Business-humanrights.org,   S. Korea: Two casualties in Ulsan factory blaze,  February  17,  2025

       World.kbs.co.kr, 2 Injured in Oil Tank Explosion in Ulsan,  February  10,  2025

       Hazardexonthenet.net,  Oil storage tank explosion kills one person, injures another,  February  10,  2025

           

後 記;大容量泡放射砲の放射能力が75,000リットル/分について疑問がありましたが、メディア1社が2基分という修正記事を出したので、解消しました。ところで、「目は口ほどに物を言う」ということわざがありますが、今回の事例では「写真は口ほどに物をいう」と感じました。韓国の記事情報は状況を伝えていますが、被災写真をていねいに見ていくと、記事に無い情報がわかります。人の目線の写真は脅威を感じるほどの威圧感のある写真もありますが、鳥の目の写真は冷静に見ることができます。ドローンによる映像が事故現場に現れるのはさすがに技術の韓国です。消防活動ではドローンによる映像が有効だと言ってきましたが、今回の事例でよく理解できました。 

2025年2月20日木曜日

米国テキサス州のパイプライン火災の原因は自殺者の車による破壊

 今回は、2024916日(月)、米国のテキサス州ハリス郡ディアパークを通っているエナジー・トランスファー社が所有する地下埋設の天然ガス用パイプラインで、地上に出ているバルブ設備に車が衝突して、内部の天然ガスが噴き上がり、火災が発生し、4日間燃え続けた事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国のテキサス州Texasハリス郡Harris CountyディアパークDeer Parkを通っているエナジー・トランスファー社Energy Transferの地下に埋設された天然ガス用パイプライン設備である。

■ 事故があったのは、口径20インチ(50cm)の地下パイプラインの地上に出ているバルブ設備である。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2024916日(月)午前930分頃、ディアパークで大規模なパイプライン火災が発生し、巨大な火柱が噴き上がった。火災発生当初、炎の柱が100m上空まで上がり、濃い黒煙が一帯を漂い、煙は10マイル(16km)離れた場所から見えた。

■ 住民のひとりは、朝食を食べていた午前930分頃、爆発音を聞いたという。「突然、大きな音が聞こえて、裏口からオレンジ色のような明るいものが飛んでくるのが見えました」と語った。

■ 発災にともない、午前10時前に消防隊が出動した。消防隊は、住民に周辺地域から避難を促すとともに、近隣の住宅が火災に巻き込まれないように努めた。

■ パイプラインの爆発・火災で広範囲にわたって炎が地面を焦がし、隣接する送電線を切断し、停電が生じた。エナジー・トランスファー社は、火災によって数千の住宅や事業所で停電が発生し、広範囲にわたる避難を促したと述べた。

■ 当局は、一時、約1,000軒の住民を避難させ、近隣の学校の生徒に屋内退避を命じた。

■ 発災現場近くの公園が被害を受け、消防隊が隣接する住宅に放水した。正午までに少なくとも数軒の住宅が火災に見舞われ、屋根から煙が吹き出していた。近くにはスーパーマーケットのウォルマートなどの店舗がある。

■ 消防隊は火災を監視し、火災が他の住宅に広がらないようホースで水をかけたりした。しかし、消防士4人が熱中症を負い、現場で治療を受けたほか、住宅5軒が被災した。

■ エナジー・トランスファー社の作業員はパイプライン内の天然ガス液の流れを止めたが、配管内には大量の天然ガスが残っていたため、消防隊は消火活動をできなかった。

■ エナジー・トランスファー社によれば、パイプラインから出る炎は自然に消えるはずだという。同社は、天然ガスの流れは遮断したが、内部の残留液で数時間燃え続ける可能性があると述べた。

 しかし、閉じられた2つのバルブの間には20マイル(32キロ)のパイプラインが走っており、火が消える前に内部の天然ガスがすべて燃え尽きるにはさらに時間が必要であった。

■ トランスファー社とハリス郡当局は、炎と黒煙が一帯に漂ったにもかかわらず、大気質モニタリングでは人に対する即時の危険は見られなかったと述べた。

■ 917日(火)、火災は小さくなっていったものの、地元住民の一部は次第に疲れを感じ始めていた。 

住民は衣服やその他の品物を持ってくるために家に戻り、その後すぐに出発する様子が見られた。住民のひとりは、「私たちは文字通り、着ている服とペットだけを持って、どこへ向かうのか全く分からないまま家を出てきたのです。いらだちを隠せません」と語った。

■ 918日(水)に3日目を迎え、当局は919日(木)夕方まで鎮火しない見込みだと述べた。しかし、火災の勢いは弱まり、当局は918日(水)夕方から住民の帰宅を許可し始めた。

■ ユーチューブでは、事故を伝える映像が投稿されている。主なものはつぎのとおり。なお、英語版を日本語字幕への変え方については、当ブログの「米国化学物質安全性委員会(CSB)の新たな安全ビデオの日本語字幕」202524日)を参照。

YoutubeFire still burning after gas pipeline blast near Houston, Texas2024/9/17

    ●YoutubePipeline explosion in La Porte, Texas, forces evacuations2024/9/17

    ●YoutubeTexas pipeline explosion forces thousands to evacuate2024/9/17

    ●YoutubePipeline explosion forcing evacuations in Houston, Texas2024/9/17

被 害

■ 口径20インチ(50cm)の地下パイプラインの地上のバルブ設備が破損し、内部に入っていた天然ガスが流出して焼失した。 

■ 事故を起こした車の運転手が死亡したほか、消防士4人が熱中症を負った。

■ 数千の住宅や事業所で停電が発生したほか、約1,000軒の住民が避難した。  

■ 天然ガスの焼失によって大気を汚染させた。

< 事故の原因 >

■ 原因は、天然ガスパイプラインの地上に出ていたバルブ設備に車が衝突して破損し、パイプラインから天然ガスが噴き出し、火災になった。車の運転手は故意にバルブ設備に衝突させ、自殺したとみられる。

< 対 応 >

■ 4日間燃え続けていたパイプライン火災は、919日(木)にようやく鎮火した。916日(月)の朝に発生してから約80時間後にようやく鎮火した。

■ 火災から逃げざるを得なかった住民らは、919日(木)に被害状況を確認するため、自宅に戻った。住民らは、車や郵便受けなどが猛烈な熱で部分的に溶け、近隣の公園が焼け焦げてしまい、フェンスが焼け落ちているのを目にした。発災場所から100mほど離れたところにある自宅の住民は、火災の延焼を防ぐために消防隊が水をかけたため、住宅がひどく損傷しているのを見て、「悲しくて、心が動揺しています。これからどうしたらいいのか分からない」と語った。 

 ■ 当局は、パイプライン火災の発生以来、炎のそばにあったSUVSport Utility Vehicle;スポーツ用多目的車)の中から人骨が発見されたと発表した。当局によると、地下パイプラインはウォルマートと住宅街の間の芝生のエリアにある高圧送電線の下を通っており、SUVの運転手が店舗の駐車場を出て広い芝生のエリアに入り、バルブ設備を囲むフェンスを突き抜け、損傷させたという。

■ 目撃者によると、車のスピードは速くなく、運転手が事故前に何らかの病気を患っていた可能性があると語った。車はウォルマートの舗装駐車場から出て公益事業用地の芝生を通り抜け、地上のバルブに衝突して爆発を起こし、空中に舞い上がった瞬間を説明した。

 しかし、車は不可解なことにウォルマートの駐車場から芝生を横切る際にスピードを上げ、天然ガスパイプラインを囲む金網フェンスを突き破った。

■ SUVの車に乗っていたのは、地元に住む51歳の男性だとわかった。

■ 爆発・火災は事故だったとみられ、警察と地元FBI捜査官はテロ攻撃の証拠を発見していないと述べた。しかし当局は、車がフェンスを突き破ってパイプラインのバルブに衝突した原因についてはほとんど詳細を明らかにしていない。

■ テキサス州鉄道委員会 (Texas Railroad Commission)はパイプライン火災の原因調査を開始した。

■ 920日(金)、ディアパーク市長はパイプライン爆発・火災の原因となった車の衝突は、運転手が健康上の問題を抱えていたことによるものでもないと語った。しかし、ディアパーク市長の声明は、裏付けとなる詳細や証拠を示さずになされており、事故前に運転手が発作を起こしていたという家族の考えと矛盾している。

■ ハリス郡法医学研究所のウェブサイトに、地下パイプラインの地上に出ていたバルブ設備に突っ込んだSUVを運転していた男性は、「鈍的外傷および熱傷」で死亡し、死因は「自殺」だったという判断を下した。ハリス郡検視官の報告書によると、この男性は過去に自殺未遂の経歴があり、最近アルコール依存症のリハビリセンターから退院したばかりだったという。報告書では、この2つの要素と、パイプラインに向かって加速する車両の監視ビデオ映像を、死因が自殺であると断定する証拠として挙げている。 

■ パイプラインのバルブ設備は、上部に有刺鉄線を張った金網フェンスで保護されていたとみられる。エナジー・トランスファー社は、設置されていたその他の安全対策についての質問には回答していない。当局は、エナジー・トランスファー社のような企業に対し、パイプラインや地上バルブの周囲にコンクリート構造物を設置するなど、より優れた安全対策を講じるよう要求できるかどうか検討すると述べた。

■ パイプラインの安全専門家は、流出物質の燃焼が止まるまでに1日以上かかったのは驚くことではないと述べた。また、破裂による死亡事故や環境被害を減らすことを目的とした2022年に改正された規制は、ガスパイプラインを対象としており、液体を輸送するパイプラインには適用されないという。また、多くの新しい安全規制は、既存のパイプラインに遡及的に適用されないと付け加えた。

 テキサス州最大の都市ヒューストンは、米国の石油化学産業の中心地であり、製油所や工場が集まり、何千マイルにも及ぶパイプラインが張り巡らされている。爆発や火災は日常茶飯事で、中には死者も出ており、住民と環境を守るための業界の取り組みに疑問が投げかけられている。

■ 環境活動家は、2021年の冬の嵐「ウリ」の後に起きた天然ガス会社による価格つり上げと同様に、今回の巨大火災は、テキサス州が安全よりも規制緩和と開発を重視することがいかにテキサス州の住民を不必要な危険にさらしているかを示していると述べている。

■ メディアによると、1996年にエナジー・トランスファーを設立した経営者は、同社を地域パイプライン会社から年間540億ドル規模の大会社に築き上げた。パイプライン王である経営者は、その過程で、共和党大統領候補やテキサス州知事のような規制緩和を支持する政治家を支援するために多額の選挙資金を投じてきた。

■ 一方、パイプラインを監視する役目をもつテキサス州鉄道委員会の記録を調べたところ、エナジー・トランスファー社は、2021年以降、パイプラインに関連する事故を53件報告しており、2024年に入ってからも8件の事故を発生させ、140万ドルの損害が報告されている。しかし、州による重大な規制対応の記録はない。

■ 調査によると、2019年以降、全国で地上の危険な液体やガスの輸送パイプラインに車やトラックなどの車両が衝突する事故が少なくとも36件報告されている。そのうち12件はテキサス州で発生した。これらの衝突により3人が死亡、2,100万ドル以上の物的損害が発生し、避難、火災、ガスや石油の漏れ、環境汚染が生じた。

 この調査を行った団体によると、多くの場合、危険で可燃性の化学物質を輸送するパイプラインは、近くの道路や駐車場を走行する車両による損傷に対してほとんど保護されていないことがわかった。規則により、パイプライン運営者はパイプラインに必要な保護の種類を決定できるが、記録によれば、車両に衝突されたパイプラインの多くは金網や木製のフェンスしか備えていなかった。

 今回の事故で、車が衝突したディアパークのパイプラインは、交通量の多いスペンサー・ハイウェイやウォルマートの駐車場の近くにあったにもかかわらず、金網フェンスで囲まれているだけだった。

■ 2025211日(火)、テキサス州規制当局は、昨年起きたディアパークのパイプライン爆発に関する調査で、パイプラインを運営するエナジー・トランスファー社による安全違反は発見されなかったと語った。しかし、この決定は、爆発中に家から避難しなければならなかった人々から怒りを買っている。当局はメディアのインタビューに応じないだけでなく、質問にも答えなかった。全国的な安全擁護団体であるパイプライン・セーフティ・トラストの事務局長は、ディアパークの爆発で違反が指摘されていないことは、国のパイプライン安全法の重大な問題を示していると述べた。安全規則では、パイプラインは偶発的および意図的な損傷の両方から保護する必要がある。 

■ 20249月にパイプラインのバルブによる事故があった後、エナジー・トランスファー社は以前の金網フェンスをコンクリートバリアに交換した。コンクリートバリアの設置は建設作業のためであり、「建設作業員の境界として機能していた」と述べた。当時、同社は「バリアが撤去されるかどうか、いつ撤去されるかは不明」としている。

■ ディアパークで起こった事故現場の近くには、シェル・ケミカル社を含む他社が運営するパイプラインのバルブが数個ある。交通量の多いスペンサー・ハイウェイのそばにあって可燃性・爆発性の化学物質を輸送しているが、金網フェンスで保護されているだけだ。  

補 足

■「テキサス州」Texasは、米国南部にあってメキシコ湾岸に面し、メキシコと国境を接する人口約3,050万人の州である。

「ハリス郡」Harris Countyは、テキサス州の東部に位置し、人口約480万人の郡である。

「ディアパーク」Deer Parkは、米国テキサス州のヒューストン・シュガーランド・ベイタウン大都市圏にある都市である。この都市はハリス郡の南東部に位置し、人口は約34,000人である。

■「エナジー・トランスファー社」Energy Transfer LPは、1996年に設立され、米国において130,000マイル(20km)以上のパイプラインと関連施設を備えるエネルギー物流会社である。天然ガス、原油、NGL、精製製品などのパイプライン輸送、保管、ターミナル処理を行っている。事故のあったパイプラインは、ヒューストンの南東にあるディアパークやラポート(La Porte)を経由して天然ガス液を輸送している。

■「テキサス州鉄道委員会」Texas Railroad Commissionは、名前が示すように元来は鉄道に関する公共業務を行うために設立された。その後、石油工業の発達によってパイプラインに関する業務を行うようになり、現在は鉄道、パイプライン、石油・天然ガス、石炭・ウランの鉱物資源に関する業務を行っている。

■「発災したバルブ」の種類は報じられていない。発災写真を見ると、パイプラインの孤立用のゲートバルブではなく、パイプライン用の安全弁またはエアベントバルブ(空気抜き弁)ではないかと思われる。

所 感

■ 今回のパイプライン爆発・事故の原因は、最初、意識を失った運転手の車の衝突によるバルブの破損だと思っていた。また、口径20インチ(50cm)パイプラインの孤立用のゲートバルブであれば、車の衝突で内部の天然ガスが噴き上がるような破壊は起こるとは思えず、ゲートバルブのフランジ部が開口したのではないかと思った。 

 しかし、実際は運転手が自殺するために車を地下パイプラインの地上バルブ設備へ衝突させたものだという。発災写真を見ると、損傷部は開口した配管であり、パイプライン用の安全弁またはエアベントバルブ(空気抜き弁)ではないかと思う。これらであれば、パイプラインより口径が小さく、車の衝突による破壊は可能であろう。

■ 報道記事では、テキサス州のパイプラインの安全対策に問題があるという指摘をするメディアが多かった。日本では考えられないほど甘い印象である。今回も、法規制の解釈上、「パイプラインを運営するエナジー・トランスファー社による安全違反は発見されなかった」という。

■ 消火戦略には、積極的戦略・防御的戦略・不介入戦略の3つがあるが、天然ガスは消火してしまうと再着火して被害が拡大してしまう。記事にあるように、住宅の延焼防止を行う防御的戦略を行い、流出する天然ガスが燃え尽きるまで不介入戦略をとっている。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Firerescue1.com,  Pipeline explosion sets fire to Texas houses, causes evacuation, September 16, 2024

    Nbcdfw.com,  A fire that burned for 4 days after Texas pipeline explosion has finally gone out, September 20, 2024

    Pbs.org, WATCH: Pipeline explosion and fire forces evacuations in Houston suburb, September 16, 2024

    Apnews.com, Massive pipeline fire burning near Houston began after a vehicle struck a valve, officials say, September 17, 2024

    Abc13.com, 51-year-old man's remains identified in Deer Park pipeline blast, dayslong fire, police say,  October 01, 2024

    Edition.cnn.com, A pipeline fire sparked by an SUV crash has burned for more than 24 hours and prompted evacuations in a Houston suburb, September 17, 2024

    Foxcarolina.com, Pipeline explosion, fire in Houston suburb forces evacuations, September 17, 2024

    Nbcnews.com, Texas pipeline fire is out, vehicle and human remains are found, September 21, 2024

    Cbsnews.com, Pipeline fire outside Houston dies down but continues to burn; some evacuation orders remain, September 17, 2024

    Texasobserver.org, Pipeline Explosion in Deer Park Reveals Hidden Hazards Texans Face, September 17, 2024

    Pipeline-journal.net, Fire at Energy Transfer’s Texas LNG Pipeline Affects Thousands of Residents and Businesses, September 18, 2024 

    Reuters.com, Energy Transfer pipeline catches fire in La Porte, Texas, September 17, 2024

    Nytimes.com, Officials Open Criminal Inquiry Into Crash That Caused Pipeline Fire Near Houston, Texas, September 19, 2024

   Houstonlanding.org, Deer Park mayor says deadly pipeline explosion and fire ‘wasn’t an accident’, Texas, September 20, 2024

   Houstonlanding.org, Autopsy cites driver’s mental health history for suicide ruling in pipeline explosion, Texas, January 29, 2025 

   Houstonlanding.org, Autopsy cites driver’s mental health history for suicide ruling in pipeline explosion, Texas, January 29, 2025


後 記: 今回の事故で運転手が乗っていたSUVはレクサスだということです。(事故には直接関係ないですが) 米国に輸入している車の関税を上げると米国大統領が話しているようですが、レクサスは米国インディアナ州とケンタッキー州に工場をもち、現地で車両を生産しているそうです。

 ところで、米国では大統領が変わり、つぎつぎと大統領令へのサインする映像がテレビで流されています。このブログでは、4年前に「米国バイデン大統領が原油パイプライン建設認可を取消し」20211月)を投稿しました。政治的な話は取り上げないようにしていますが、またぞろ出てくるかも知れませんね。米国では、AIのような創造的な技術の進歩にはびっくりさせられますが、今回のような事故では、安全が進歩しているとはいえません。

 トランプ大統領は、“掘って、掘って、掘りまくれ”(Drill, Baby, Drill)と言っています。米国の原油・天然ガス生産が増えることになるでしょう。それとともに事故は増えていくでしょう。(報道では、米国は現在でも世界一の原油・天然ガス生産国であり、それほど増えないのではないかという意見もありますが) 

2025年2月12日水曜日

福岡県苅田町の工場で円筒形タンクの漏れ検査中に破裂、死傷者4名

  今回は、202527日(金)、福岡県苅田町にある日本機設㈱苅田工場で点検中の円筒形タンクが破裂して死傷者4名を出した事故を紹介します。

< 発災地域の概要 >

■ 発災があったのは、福岡県京都郡(みやこ・ぐん)苅田町(かんだ・まち)鳥越町にある日本機設㈱苅田工場である。日本機設㈱は、セメント設備をはじめとする機械プラントの設計・製作・据付・改造・メンテナンスの業務を行っている。

■ 事故があったのは、日本機設株苅田工場内にあるタンク設備である。タンクは水を入れる直径約4m×長さ約6mの円筒形(円柱形)タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 202527日(金)午後4時頃、日本機設㈱苅田工場で点検中のタンクが破裂した。

■ タンク破裂の119番通報を受け、消防署や警察が出動した。

■ 作業に当たっていた4名が被災し、病院に搬送された。作業していた男性2名で、うちひとりが死亡、別の1名が意識不明の重体となった。近くにいた他の男性作業員2名も足にけがをしたが、命に別条はないという。

■ 爆発の前に、請負業の作業員は、空のタンクに空気を入れて漏れる箇所がないか点検していたところ、上部が破裂したという。

■ ユーチューブでは、事故を伝える映像が投稿されている。

Youtube「福岡県苅田町の工場で点検中にタンク破裂 1人死亡 1人重体」2025/02/08

●Youtube「工場で点検中のタンク破裂 作業員4人巻き込まれ1人死亡」2025/02/08

被 害

■ タンク1基が破損した。

■ 死傷者が4名出た。内訳は死亡1名、重傷1名、軽傷2名である。 

< 事故の原因 >

■ 事故原因は調査中である。爆発の前に、空のタンクに空気を入れて漏れる箇所がないか点検していたところ、上部が破裂したという。

< 対 応 >

■ タンクが破裂した経緯について警察が調査している。

補 足                                                

■「福岡県」は、九州地方の北部に位置し、人口約509万人の県である。

「京都郡」(みやこ・ぐん)は、福岡県北東部に位置し、人口約55,000人の郡である。

「苅田町」(かんだ・まち)は、福岡県北東部の周防灘に面した町で、臨海部の埋立地に多くの工場が立地する工業地帯を形成しており、人口約37,800人である。自動車・セメント・電力等を中心として発達しており、多くの工場が立地するため財政力が強く、1975年度以降、福岡県で唯一の地方交付税不交付団体で、2003年に発足した京築15町合併協議会をはじめ、周辺自治体との合併協議には参加していない。

■「日本機設㈱」は、1945年に北九州市で設立され、セメントなどのプラント設備工事を行っている会社で、重厚長大な重量機器の据付と回転機器などの据付調整作業を得意としている。工場は苅田のほか、上磯工場(北海道)、埼玉工場、大阪工場を有している。なお、兵庫県を本拠としている日本機設工業とは別な会社である。

■「発災タンク」は、水を入れる直径約4m×長さ約6mの円筒形(または円柱形)タンクと報じられている。このサイズのタンク容量は約75KLとなるが、材質(鋼製やFRP製)や用途などは報じられていない。空のタンクに空気を入れて漏れる箇所がないか点検していたところ、上部が破裂したという。

 円筒形タンクの型式は、石油貯蔵タンクのような底板を基礎に置く大気圧(または常圧)タンクのタイプと、プロセス用で下部が楕円型の脚付き圧力容器型(加圧)のタイプに大きく分かれる。(写真を参照)

所 感

■ タンク型式は大気圧(常圧)タンクと圧力容器型(加圧)のタンクに大きく分かれるが、今回の事故はどちらのタイプであったか報じられていない。タンク型式によって事故の要因は異なる。

 ● 大気圧(常圧)タンクは、通常、タンクの漏れ検査に水を使う。今回の発災タンクは水用でありながら、空気を使った漏れ検査を実施している。空気を使う特別な事情があったのかも知れないが、コーンルーフ型タンクの耐圧は通常水柱38mmである。このように耐圧性の無いタンクに加圧空気を入れれば、過剰圧力になりやすく、タンクは破裂する。

 ● 圧力容器型(加圧)タンクの場合、漏れ検査は圧力媒体として空気(気体)を使う。この際、タンクに欠陥があって圧力媒体が漏洩する場合、内部エネルギーの放散は試験圧力が高いほど激しいものとなる。従って、タンクは耐圧試験による耐圧性が確認されていることが重要である。

■ 日頃、漏れ検査をどのような方法で行っていたか分からないが、いずれにしても空気を使った漏れ検査の方法に問題があったと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである

     Mainichi.jp, 福岡・苅田の工場でタンク爆発 4人負傷、うち1人死亡,  February  07, 2025

     Nhk.or.jp, 苅田町の工場でタンク破裂 4人けが うち2人意識不明で搬送,  February  07, 2025

     Newsdig.tbs.co.jp,  福岡県苅田町の工場で点検中にタンク破裂 1人死亡 1人重体,  February  08, 2025

     47news.jp,  タンク破裂、1人死亡 点検中、福岡・苅田の工場,  February  07, 2025

     News.ntv.co.jp,  工場のタンクが破裂 男性従業員2人が意識不明 福岡・苅田,  February  07, 2025

     Nishinippon.co.jp,  タンク破裂、1人死亡 点検中、福岡・苅田の工場,  February  07, 2025

     Kbc.co.jp,  工場で点検中のタンク破裂 作業員など3人が死傷,  February  08, 2025      


  後 記: テレビ放送によって事故が報じられたので、情報を調べれば、事故状況はわかるものだと思いました。しかし、インターネットで調べても疑問が出てくるばかりでした。タンクは工場建屋内に置かれていたもので、大きさはわかっても、タンク型式さえはっきりしません。情報は一斉に即日出されましたが、翌日からはまったくありません。地方紙から追加記事が報じられるかと思いましたが、ありません。工場内で使用する水タンクと思っていましたが、もしかすると日本機設㈱で製作していたタンクではないかという疑問もあります。モヤモヤ感の残る事故でした。 

2025年2月4日火曜日

米国化学物質安全性委員会(CSB)の新たな安全ビデオの日本語字幕

 今回は、202517日(火)に米国化学物質安全性委員会(The U.S. Chemical Safety Board ; CSB)から公表された安全ビデオ(YouTube)を紹介します。タンク事故ではありませんが、内容は20208月にあったルイジアナ州のバイオラボ社の工場で起こったハリケーンを要因とする火災と有毒ガス放出の事故です。ユーチューブの安全ビデオは英語版ですが、日本語の字幕に翻訳する機能がついているので、そのやり方を示します。

事故の概要およびビデオの作成

■ 20208月、ルイジアナ州レイク チャールズにあった化学薬品の製造会社であるバイオラボ社(Bio-Lab)の工場で火災と有毒ガス放出の事故があった。この事故はハリケーン・ローラによって化学薬品が水と反応して甚大な被害を受けた。

■ この事故に関して米国化学物質安全性委員会(The U.S. Chemical Safety Board ; CSB)は事故調査を行うこととし、調査メンバーによって20234月の最終報告書を出した。

■ さらに、202517日(火)、に新たに安全ビデオ「嵐の中の火災:バイオラボ社における化学物質の放出」( Fire From the Storm: Chemical Release at Bio-Labを作成したことを発表した。

■ このビデオは、事故に至るまでの出来事のアニメーション動画とともに、米国化学物質安全性委員会(CSB  がルイジアナ州、米国環境保護庁(EPA)、米国労働安全衛生局(OSHA) に対して行った推奨事項に焦点を当てており、CSB理事のキャサリン・サンドバル氏と主任調査官のヴォンゼラ・ヴィンセント氏の解説が含まれている。

日本語字幕への変え方

■ YouTube Fire From the Storm: Chemical Release at Bio-Lab」( 「嵐の中の火災:バイオラボで嵐の中の火災:バイオラボにおける化学物質の放出」

このYouTubeのビデオは英語版であるが、日本語の字幕に翻訳する機能がついている。

 ●動画右下の「設定(マーク)」をクリックする。


 ●表示されたメニューから「字幕」をクリックする。

 ●「字幕」がオフになっていれば、クリックしてオンにする。

 ●「字幕」をクリックすると表示されるメニューから「英語(自動生成)」をクリックする。

 ●「英語(自動生成)」をクリックすると、英語の字幕になる。

 ●画面をもとに戻し、「字幕」を再度クリックする。字幕は「英語(自動生成)」になっているので、これをクリックする。

 ● 「英語(自動生成)」に表示されるメニューから、翻訳先の言語「日本語」を選択する。

 ●これで画面に日本語の字幕になる。(これで完了)

 ●もし、字の大きさや色などを変えたいならば、再度「字幕」をクリックし、「オプション」をクリックすると、字の大きさや色などを変えることができる。