2024年5月26日日曜日

韓国華城市の廃油リサイクル会社の貯蔵タンクが爆発・火災、死者1名

 今回は、昨年の2024825日(金)、韓国の京畿道華城市にあるトップエコ社の廃油リサイクル工場において廃油貯蔵タンクが爆発して火災になり、死者1名が出た事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国の京畿道華城市(かじょう・し;ファソン・シ)にある廃油リサイクル会社のトップエコ社(탑에코;Top Eco)の工場である。 トップエコ社は、廃油で再生燃料油を製造する指定廃棄物リサイクル会社で、 201510月廃棄物処理業許可を受けて運営している。

■ 事故があったのは、廃油リサイクル工場の廃油貯蔵タンクである。工場は地上1階に延べ面積495㎡の一般鉄骨造建物2棟があり、貯蔵タンクは工場内にある。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2023825日(金)午前11時頃、廃油貯蔵タンクが突然の爆発とともに火災が発生した。

■ 発災に伴い、消防署の消防隊が出動した。

 消防当局は、午前1126対応1段階” (37個消防署で3150台の装備を動員する警報令)を発令したのに続き、午前1135分対応段階を対応2段階814の消防署で5180台の装備を動員する警報令)に上げ、ヘリコプター3台をはじめとする装備80余台と消防士180名を動員した。

■ 当時、廃油貯蔵タンクでは外注業者の従業員が作業していたところ、爆発が発生して火災になったという。

■ 事故に伴い、現場から約100m離れた西海岸高速道路において午前12時から全面閉鎖された。道路は極度の停滞が生じ、車の渋滞は10kmほど続いた。

■ 当局は、近くの住民に対して緊急避難を指示した。また、消防水による周辺環境汚染防止のために周辺に吸着布などを投入した。

■ 消防当局によると、午後230分頃、トップエコ社の火災現場でA(55)が死亡しているのが発見された。A氏は爆発が起きた廃油貯蔵タンク付近で火に包まれて亡くなったとみられる。当時、勤務していた作業員11名(トップエコ従業員9名、外注業者所属2名)が全員避難していたと思われたが、人員確認の過程で外注業者所属のA氏が行方不明になっていた事実が把握されていた。

■ A氏らは廃油貯蔵タンクの圧力ゲージを交換する作業をする計画だったというが、正確な内容は確認が必要だという。

■ 工場には、廃油精製施設や貯蔵施設などがあるが、合計810トンの廃油を保管できることが分かった。

< 被 害 >

■ 廃油リサイクル工場の廃油貯蔵タンクなどが損壊した。  

■ 事故により、住民が避難したほか、近くを通る高速道路が、一時、全面閉鎖された。また、火災による環境汚染が出た。

< 事故の原因 >

■ 火災の原因は、廃油貯蔵タンクの圧力ゲージを取り換える作業をしていたというので、何らかのミスにより、引火して爆発・火災になったものとみられる。

< 対 応 >

■ 車両通行の制限は午後135分に解除された。

■ 消防当局は、火災発生から約2時間20分の午後132分に対応段階を1段階に下げた。その後、火災は約3時間20分経った午後239分緊急発令を解除した。

■ その後、発災から4時間余りの午後323分に火災を制圧した。ただ、炎が完全に抑えられたわけではなく、消防活動は続いた。

■ 火災は、発災から8時間を経った午後711分に鎮火した。

■ 警察と消防当局は、目撃者の陳述や現場の証拠などに基づいて火災の原因を調査している。

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,170万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「京畿道」 (キョンギト;けいきどう)は、朝鮮半島中西部で、韓国の北西部で位置し、人口約1,360万人の道である。

「華城市」(ファソン・し;かじょう・し)は、京畿道の南西部に位置し、人口約94万人の都市である。

■「トップエコ社」(탑에코;Top Eco)は、廃油で再生燃料油を製造する指定廃棄物リサイクル会社で、 201510月廃棄物処理業許可を受けて運営している。工場は地上1階に延べ面積495㎡の一般鉄骨造建物2棟があり、貯蔵タンクは工場内にある。工場には、廃油精製施設や貯蔵施設などがあるが、合計810トンの廃油を保管できるという。

■「発災タンク」は廃油貯蔵タンクと報じられているが、タンク型式や大きさなどの仕様は分かっていない。また、廃油リサイクル施設がどのようなプロセスかについても情報がない。日本国内の一般的な廃油処理施設の例を図に示す。

所 感

■ 廃油リサイクル施設では、圧力ゲージを交換する作業自体は危険性の高い作業ではないし、廃油も揮発性の高いものではないのが通常であろう。しかし、爆発して火災になっており、日本で起こった「千葉県野田市の廃油処理施設の爆発事故(2013年)」 20154月)と同じように原因はガソリンなど揮発性の高い油を投入したのではないだろうか。廃油リサイクル会社が意図して揮発性の高い油を処理したのではなく、廃油を出した側がガソリンを投入してしまったのではないか。

 千葉県の事例では、廃油蒸留施設に投入できないガソリンと軽油の混合物である低引火点油類を投入してしまい、精製過程において気化した可燃性ガスに引火して爆発に至ったと推定されている。事例では、受入側が引火点などの廃油の性状を確認するようにしている。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    Stock.mk.co.kr,  화성 폐유 재활용업체 화재로 1명 사망…8시간 만에 완진(종합2),  August  25,  2023

    Yna.co.kr,  화재로 1명 숨진 화성 폐기물 업체에 폐유 810t 보관시설,  August  25,  2023

    Jeonmae.co.kr, ‘폐유 810t 보관’ 화성 폐기물 업체 화재로 1명 사망,  August  25,  2023

    Kihoilbo.co.kr,  화성 폐유 재활용 업체 화재 발생 외주 업체 직원 숨져,  August  27,  2023

    Namu.wiki,  화성 향남읍 자원순환시설 화재,  November 24,  2023      


後 記: 事故直後の報道では、原因らしい内容が記事になっていましたが、その後の追加記事がありませんでした。3か月後の202311月に、事故の内容をまとめたものがインターネットに投稿されていましたが、事故原因ははっきり示されていませんでした。2024年に入っても、報道記事は削除されずに残っていましたが、新たな情報は投稿されていませんでした。このあたりは日本の報道姿勢と変わらないような気がします。ほとんどの人は中途で情報がプッツンして世の中に活かせてないように思います。情報は活かしてこそ役立つのではないでしょうか。

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