今回は、 2023年9月17日(日)、静岡県静岡市清水区にある三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱の清水工場でフッ素樹脂製造設備のタンクが爆発した事例を紹介します。
< 発災施設の概要
>
■ 発災があったのは、静岡県静岡市清水区三保にある三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱の清水工場である。清水工場は三保半島にある工場が集まる地域にあり、フロロカーボン系の溶剤やフッ素樹脂を生産している。
■ 事故のあった設備は、清水工場のフッ素樹脂製造設備のタンクである。
<事故の状況および影響>
事故の発生
■ 2023年9月17日(日)午後3時30分頃、清水工場のフッ素樹脂製造設備の容量約3KLのタンクが爆発した。
■ 近くの住民によると、 「ドカーンという音がし、黒い煙が上がった」という。
■ 静岡市清水区三保では 「工場から爆発音がして煙が見えた」と複数の通報が消防に相次いであった。警察と消防が駆けつけたところ、三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱清水工場のタンクで爆発が確認された。
■ 30分後には、火はすでに消えていて、事故に伴う負傷者はいなかった。
■ 有害物質の工場構外への漏洩やその他の影響は確認されていない。
■ 三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱によると、検査を行うため、エチレンガスをこのタンクに移す作業中に、何らかの理由で爆発したという。
■ ユーチューブには、事故が起きたことを報じる動画が投稿されている。(YouTube、「静岡市清水区の化学工場でタンクが爆発けが人はなし」 2023/09/18)
被 害
■ 容量約3KLのタンクが爆発で損壊した。そのほかの物的被害は調査中である。
■ 事故に伴う負傷者はいなかった。
< 事故の原因
>
■ 原因は調査中である。
三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱によると、検査を行うため、エチレンガスをこのタンクに移す作業中に、何らかの理由で爆発したという。
< 対 応
>
■ 9月18日(月)、三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱は自社のウェブサイトでお詫びとともに事故状況について発表した。しかし、事故の状況については前日のメディアの報道以上のことは記載されていない。
補 足
■「静岡県」は、日本の中部地方に位置し、人口約355万人の県である。
「静岡市」は、静岡県中部に位置し、駿河湾に面した三保の松原と日本平から見える富士山の眺めで知られており、人口約677,000人の都市である。
■「三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱」は、E.l.du pont de
memours & Co.と日東化学工業の出資により日東フロロケミカル㈱として1963年に設立した化学会社である。1965年に清水工場が竣工した。1984年に社名を三井・デュポンフロロケミカルに変更した。2015年に株主がデュポン㈱からケマーズ㈱に変更され、2018年に社名を三井・ケマーズフロロプロダクツに変更した。
フッ素樹脂テフロン™は、1938年に米国デュポン社のR.J. Plunkett博士によって発見され、工業発展に大きな役割を果たしている。三井・ケマーズフロロプロダクツ㈱は、清水工場と千葉工場の2つの生産拠点を有し、フッ素樹脂テフロン製品、フッ素樹脂テフロン塗料 フッ素ケミカル(冷媒、発泡剤、特殊溶剤、消火剤)を生産している。
■「フッ素樹脂製造設備」のうち、 テフロン™の商品名で有名なPTFE(PolyTetraFluoroEthylene/ポリテトラフルオロエチレン)の製造方法は、つぎのとおりである。しかし、プロセスや爆発した「容量約3KLのタンク」の詳細はわからない。
所 感
■ 事故の状況や原因について推測しようにも情報が無さすぎて分からない。
備 考
本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。
・Nhk.or.jp, 静岡市清水区にある化学工場のタンクで爆発 けが人なし, September
17, 2023
・Mc-fluoro.co.jp, 清水工場における事故について, September 18,
2023
・T v-sdt.co.jp, 静岡市清水区の化学工場でタンクが爆発 けが人はなし, September
17, 2023
・News.yahoo.co.jp, 工場から爆発音
建物から黒煙との通報も すぐに鎮火しけが人もなし 静岡市清水区の工場, September
17, 2023
・Saga-s.co.jp, 静岡の工場で爆発、けが人なし, September 17,
2023
後 記: テレビ(ローカルですが)で事故を報道していましたので、日にちを少し置いたりして調べれば、状況が少しは明らかになるかと思いましたが、まったくダメでした。インターネットの報道記事ははやくも削除されはじめています。
エチレンの事故といえば、 1973年7月7日の七夕の日にエチレン製造装置で大きな爆発事故があったのを思い出します。失敗知識データベースにも「エチレン製造装置において緊急停止後急いで再立ち上げしたことによるアセチレン水添部での火災」が掲載されています。そういえば、今年はちょうど50年前に当たっていましたね。事例が教訓としてきちんと残されています。今回は負傷者がいなかったので、不幸中の幸いでした。フッ素樹脂製造設備は国内でも多くのメーカーがあるようですので、事故原因は教訓として公表されることを期待しています。
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