2013年11月20日水曜日

米国ノースダコタ州の石油施設で爆発、タンク13基が被災

 今回は、2013年11月7日、米国ノースダコタ州マッケンジー郡アレクサンダーから南西へ約12km離れたメサ・オイル・サービス社が所有する油井関連施設の塩水処理装置において爆発・火災があり、タンク13基が被災した事故を紹介します。
爆発・火災を起こしたメサ・オイル・サービス社の塩水処理施設のタンク群
(写真はBismarcktribune.com から引用)
 <事故の状況> 
■  2013年11月7日(木)午後12時過ぎ、米国ノースダコタ州マッケンジー郡にある石油施設で爆発を起こす事故があった。事故があったのは、マッケンジー郡アレクサンダーから南西へ約8マイル(12km)離れたところのメサ・オイル・サービス社が所有する油井関連施設の塩水処理装置で、爆発・火災によって13基のタンクが被災した。
               ノースダコタ州アレクサンダー付近   (写真はグーグルマップから引用) 
■ マッケンジー郡緊急対応部長のジェリー・サミュエルソン氏は、処理施設のタンクが午後1215分に爆発したという報告を受けたという。サミュエルソン氏によると、処理施設でタンクローリ車の運転手が荷下ろしをし、現場を後にした時に、処理器で爆発が起き、近くにあった貯蔵タンクが火災になったという。処理器は施設を構成する一部であり、油を分離するため熱源を使用している。爆発によってタンク13基が火災になった。爆発の原因は分かっていない。ノースダコタ州保健局によると、発災時、施設には 270バレル(43KL)の油と2,440バレル(388KL)の塩水が保有されていたという。

■ 発災に伴い、アレクサンダー消防署が出動し、消火活動に入った。タンクローリーの運転手は、消防署による水の供給が少ないことを見て、清水を運ぶ手伝いを志願した。しかし、運転手は、火災現場へ戻ってきたときに、心臓発作を起こしてしまった。しかし、その時、マッケンジー郡救急隊はすでに現場から去っており、運転手を救護するため、急遽呼び戻されたとサミュエルソン氏は語った。運転手はウィルストンの病院へ搬送された。運転手の名前とその後の状況は発表されていない。サミュエルソン氏によると、その他に事故に伴うけが人は報告されていないという。

■ サミュエルソン氏によると、鉱物資源油・ガス部門の現場検査官は発災後すぐに現場へ到着したという。水質管理部門のクリス・ロバート氏が現地の立入り調査を行ない、流出は構内に限定していると語った。
ロバート氏によると、火災は午後4時30分頃に鎮火したという。ロバート氏は、火災によって油の大半は燃えてしまい、残った大量の水の上には薄い油膜が浮いていたと話している。ロバート氏は、環境保全の請負会社が現場に入ってきたので、数時間のうちに液体は回収される見通しだと語った。

■ サミュエルソン氏は、「過去3、4年の間に、このような事故は1、2件ありましたが、大抵は落雷によるものでした。しかし、今回はそのような天候の条件にありませんでした」と語っている。 水源に関する汚染がなかったことについて、サミュエルソン氏は、「大半の油と塩水は燃焼してしまったので、水源の汚染への懸念が無くなったことは幸いでした」と話している。
 (写真はBismarcktribune.com から引用)
 (写真はJamestownsun.com から引用)
補 足                
■ 「ノースダコタ州」は、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約70万人である。州都はビスマルク市である。
 「マッケンジー郡」は、ノースダコタ州の西部に位置し、人口約7,900人の郡である。郡庁所在地はワトフォート市である。
 「アレクサンダー」はマッケンジー郡の中央部に位置し、人口約260人の町である。

■ 「メサ・オイル・サービス社」(Mesa Oil Services)は、米国西部の石油・ガス生産会社のための塩水処理および処分を専門的に行っている会社である。本社はコロラド州グランドジャクソンにあり、同社のウェブサイトによれば、現在、ノースダコタ州マッケンジー郡でポンプ・処理ステーションの操業を行っているという。ウィブサイトのギャラリーに塩水処理施設の写真が掲載されているが、発災したノースダコタ州マッケンジー郡の施設と見られる。塩水処理施設は、天然ガス井の生産で付随してきた塩水をタンクローリー車で集積して、油水分離し、水(塩水)はポンプで地下に戻すプロセスだと思われる。タンクは鋼製もあるが、大半はFRP製だと思われる。
メサ・オイル・サービス社の塩水処理施設
  (写真はMesa Oil Services Web Siteから引用) 
メサ・オイル・サービス社の塩水処理施設
  (写真はMesa Oil Services Web Siteから引用) 
右写真の手前1基(鋼製)を除いてFRP製タンクと見られる
  (写真はMesa Oil Services Web Siteから引用) 
所 感
■ 最近、米国では、油井関連施設のタンク事故が目立つ。今回も天然ガス井の塩水処理施設におけるタンク爆発・火災事故である。これまでは油・ガス井に付帯する貯蔵タンクの事故で、運転管理に問題があると思っていたが、今回は塩水処理を専門とする会社における事故であり、問題は根深いように思う。米国内で課題化されるのではないだろうか。対応策がとられなければ、事故が再発するのは必至だと感じる。

■ 今回の消防活動は燃え尽きさせる戦略をとっている。というより、消防資機材や消火用水の供給を考えると、燃え尽きさせるしかなかったと思われる。また、すでに13基のタンクが被災しており、周囲に何もない状況から、無理に消火させる必要はなかったと思われる。

備 考
 本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・BismarckTribune.com,  Saltwater Disposal Explosion Dumps Waste on Site, November 07, 2013
  ・Inforum,com,  Saltwater Tank Explosion in ND, Causing Fire, 2,700-barrl Spill, November 07, 2013  
  ・JamestownSun.com, Explosion at Saltwater Tank Causes Fire, Spill, November 08, 2013
  ・TheRepublic.com,  Explosion and Fire Leads to Spill of 2,710 Barrels of Saltwater and Oil in Western ND, November 08, 2013
  ・IssSouece.com,  Saltwater Tank Explodes in ND, November 13, 2013


後 記: 今回の情報の中で、これまで聞いたことのない話が出ています。タンクローリー車の運転手が、消火用水の供給の手伝いを志願したということです。アレクサンダーという町が260人しかおらず、ボランティア精神が旺盛だったのでしょう。これだけでも初めて聞いた話の上に、運転手が心臓発作を起こして、救急車で搬送されるという思いもしなかった話がついています。消防隊は消防活動どころでなく、驚いたでしょうね。
 (切り抜きは朝日新聞11月9日山口東版から引用) 
 心臓発作といえば、近頃、日本では、いろいろなところにAED(自動体外式除細動器)が備え付けられています。さらに、救急処置のできる人のいる「AED設置救急ステーション」の認定をもった事業所があります。地元山口県周南市の消防本部は、このステーションの普及を呼びかけています。このPRのため、11月8日、ステーションの認定を受けているスポーツクラブ「ルネサンス徳山」のトレーナーを一日司令室長として招いて模擬通報の訓練が行われたということが地元のテレビ・新聞で報じられています。 
 一日司令室長となった山川華奈さんはルネサンス山形から10月に赴任したばかりで、本人曰く緊張したということですが、物事に動じない明るい性格で堂々と対応したようです。

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