2026年2月28日土曜日

韓国の大韓オイルパイプライン社の慶山石油貯蔵所でガソリンタンクが爆発・火災

 今回は、2026210日(火)、韓国・慶尚北道の慶山市の大韓オイルパイプライン社の慶山石油貯蔵所にあるガソリン・タンクが爆発し、火災となった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、韓国・慶尚北道(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)の慶山市(キョンサン・シ/けいざん・し)河陽邑(ハヤンウプ)にある大韓オイルパイプライン社(Daehan Oil Pipeline Corp.; DOPCO; 大韓送油管公社)の慶山石油貯蔵所である。

■ 事故があったのは、石油貯蔵所のガソリン・タンクである。円筒式タンクの容量は3,300KLで、発災当時は約80%の2,500KLが貯蔵されていたという。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026210日(火)午前8時前、石油貯蔵所のガソリン・タンクが爆発して火災が発生した。

■ タンク屋根が破損し、火災の炎が空に舞い揚がり、黒煙が空高く上がり、遠いところからでも肉眼で確認されるほどだった。

■ 突然の轟音に驚いた近くの住民たちは、急いで家を飛び出した。民家とわずか100mしか離れていない貯蔵タンクが爆発して火災が発生していた。近くの住民は 「見てわかるように私の家は150mの距離しかないのですから火の粉がこちらに飛んでくることも考えられますよ。だから私は何か飛んでくるのに備えていました」と語った。

■ 事故現場の近くには住宅地や山野があり、近くの3050世帯の住民は万が一に備えて避難しはじめた。

 消防署には、バンという大きな音がしてタンク火災が起こったという通報が寄せられた。

 発災にともない、消防署の消防隊が出動した。

■ 固定屋根式タンクのコーンルーフが爆発で外れて火災になっていた。事故タンク周辺には同じくらいの貯蔵タンク10余基が設置されており、燃焼が拡大すると大きな火災につながる可能性があった。

■ 出動した消防隊は、消防士104名、ポンプ車8台、消防ヘリコプター1機とともに化学消防車を投入した。油火災であるため、水では消火ができないので、泡薬剤を使用した。

■ 石油貯蔵所入口では、職員が外部の人が近づいたり、携帯電話で撮影をすることを妨げていた。職員は外部の人々の身元を確認し、「ここでむやみに写真を撮ってはならない」と警告した。慶山市役所職員や雇用労働部職員など所属を明らかにした人々だけが慶山貯蔵所の中に急いで入った。空では出動した消防ヘリコプターが上空を飛び回っていた。

■ 消防関係者によると、油流出はなく、火災の燃焼拡大の心配はない状態だと語った。

■ 事故にともなう負傷者はいなかった。

 タンクに製品が入ってくると、油の成分を確認するため、サンプル採取作業を行う。事故当時、現場でサンプル採取作業の担当者はすぐに避難した。作業者は爆発でズボンに火がついたが、すぐに逃げたため、ケガはなかった。

■ ユーチューブでは、発災時のニュースを報じる動画が投稿されている。

 Youtube「경산 송유관공사 유류 저장 탱크 폭발·화재2시간 50여 분 만에 완진 / KBS2026/02/10

 ●Youtube「경휘발유 250담긴 탱크 폭발...화재 진화 완료 / YTN2026/02/10

 ●Youtube[자막뉴스] ‘ 터지더니 큰 불기둥이경산 송유관공사 유류탱크 폭발 | 이슈픽2026/02/10) ・・・この動画には監視カメラによる爆発の瞬間の画像がある

・・・いずれも韓国語の動画であるが、Youtubeの翻訳機能を使えば、日本語訳が出てくる

被 害

■ 容量3,300KLのガソリン・タンクの屋根が噴き飛び、火災で損傷した。内部のガソリンが一部焼失した。  

■ 負傷者はいなかった。

■ 近くの住民3050世帯が避難した。

< 事故の原因 >

■ 消防当局は、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定している。消防署と警察は火災の原因などを調査する計画だという。

< 対 応 >

■ 事故発生初期、石油貯蔵所の固定消防設備が作動したことで、火が急速に弱まった。消防当局は、タンクに設置された泡消火設備(発泡噴射型消火施設)が作動し、初期の大きな炎が泡消火の効果が現れたと見ている。 

■ 消防隊は、発災から2時間半後の午前1030分頃に火災を制圧し、消火した。

■ 火災の再発の懸念に備えて、タンクに残留していたガソリンを他のタンクに移送する作業を行った。移送は約5時間かかる見込みだという。

■ 消防当局は、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定している。一方、消防と大韓オイルパイプライン社側は、マスコミブリーフィングで貯蔵タンクの上から入荷したガソリンのサンプル採取作業を行っている間に発生した静電気が油ベーパーに接触して爆発したと推定した。

■ 発災施設は100万バレル未満(16KL)で規模が大きくなく、国家重要施設から除外されていた。消防署と警察は、火災の原因などを調査する計画だという。国家重要施設から除外された2018年の京畿高陽石油貯蔵所爆発事故の時のように安全設備や出入管理などに問題があったのではないかみている。


■ 大韓オイルパイプライン社が運営するこの施設は、精製会社で作られた石油製品をガソリンスタンドに届ける前に一時的に保管する場所である。ここでは、毎年、大型石油貯蔵タンク火災や建物崩壊など複合災害発生を想定した災害対応訓練が開かれている。

■ 大韓オイルパイプライン社(大韓送油管公社)が管理するガソリン・タンクで爆発火災が起きたのは、2018年京畿道高陽石油貯蔵所爆発事故以来7年余りである。当時、消防施設の問題や安全管理が指摘されている。(当事故についてはブログ「韓国の石油貯蔵所で半地下式ガソリンタンクの爆発・火災」201810月)を参照)

補 足

■「韓国」は、正式には大韓民国で、 東アジアに位置し、人口約5,114万人の共和制国家である。首都はソウル特別市である。

「慶尚北道」(キョンサンブクト/けいしょうほくどう)は韓国の西部に位置し、人口約255万人の道である。慶尚北道は慶北(キョンブク)と略されることもある。

「慶山市」(キョンサン・シ/けいざん・し)は、慶尚北道の南部に位置し、人口約26万人の都市である。

■「大韓オイル・パイプライン社」(Daehan Oil Pipeline Corp.; DOPCO) は、1990年に設立された韓国の石油エネルギー輸送会社である。韓国の送油管の所有および運営のために設立されたのち、2001年政府持分を石油精製会社別に分割売却して民営化された。大韓オイル・パイプライン社は1,116kmの送油管を通して韓国内の石油(ガソリン・軽油・灯油・航空油)の消費量の約58%を埋設配管で輸送し、貯蔵所で保管する運営専門会社である。貯蔵所は12箇所の拠点地域にあり、合計522万バレル(83KL)の石油類の備蓄が可能である。「大韓オイル・パイプライン社」は「大韓送油管公社」と訳されることがある。慶山市には石油貯蔵所がある。

■「発災タンク」は、コーンルーフ式の固定屋根型タンクで、容量は3,300KL、発災当時約80%の2,500KLを貯蔵していたと報じられている。グーグルマップで調べると、直径は約17mであるので、高さは約15mである。発災当時の容量2,500KLとすれば、液位は約12mである。この施設の貯蔵タンクのオープン・ベント(大気ベント)は、環境上の考慮からかタンク群のベント部をつないでタンク側板下部に持っていっていると思われる。

所 感

■ 事故の原因は、消防当局によると、作業者がタンクに貯蔵する油の成分を確認するためにサンプルを採取し、静電気が発生して爆発が起こったと推定しているという。しかし、この推定については疑問がある。タンク上でサンプル採取中、静電気によって爆発が起こったとすれば、作業者は逃げる時間的余裕は無い。監視カメラによる爆発の瞬間を撮った画像でも、爆発は瞬時に発生しており、またタンク上に人影は見えない。 

 発災は、タンク気相部に形成した可燃性ベーパーが他のタンクと共通の大気ベント管の出口部に流れ、そこで何らかの引火源(静電気など)で発火し、タンク気相部の爆発性混合気が爆発したのではないだろうか。

■ タンクの固定消火設備は半固定式泡消火設備だったと思われる。発災初期に自動で泡消火設備が作動したのではなく、防油堤外から泡消火設備の配管に泡薬剤を投入したものだろう。ただ、爆発で外れたタンク屋根が1基の泡モニターに損傷を与えて、残り(1基)の泡モニターしか機能しなかったとみられる。被災写真を見ると、消火用泡がタンク液面の全表面に届かず、燃焼面を覆うことができなかったと思われる。このため、本来タンクの泡消火設備が機能しておれば、もっと短時間で消火できたものが長い時間かかった。しかし、タンクの固定消火設備があったので、ほかのタンク群への延焼が回避できたという評価はできる。

 ■ 一方、この貯蔵所のタンク配置はアクセス性が極めて悪い。被災写真の消防車の配置を見ても、2台がやっと近づき得るような道路である。直径17m級のタンクの全面火災であれば、日本の法令の三点セットの能力(放水能力3,000L/分の大型化学消防車+スクワート車)があれば、消火できる規模のタンク火災だったが、タンクの固定消火設備を過信し、消防車は不要と考えているとしか思えない。 


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

       Ytn.co.kr,  휘발유 250ℓ 담은 탱크 폭발..."화재 진화 완료,  February  10,  2026

       V.daum.net,  대한송유관공사 유류탱크 폭발 화재완진’···인명피해 없어,  February  10,  2026

       News.kbs.co.kr, 경산 송유관공사 저장탱크 폭발정전기 원인 추정,  February  11,  2026

       Joongang.co.kr, 경산 송유관공사 330L 유류탱크 폭발"정전기 원인 추정,  February  10,  2026

       Tbc.co.kr,  경산 송유관공사 기름 탱크 폭발..대형사고 이어질 뻔,  February  10,  2026

       Yna.co.kr,  경산 송유관공사 유류탱크 화재2시간 만에 진화,  February  10,  2026

       Ichannela.com,  휘발유 250들어있는데탱크 폭발에 아찔,  February  10,  2026

       M.sedaily.com,  경산 송유관공사 기름탱크 폭발대형사고 이어질 뻔,  February  10,  2026

       News.nate.com,  경북 경산 송유관공사 옥외탱크 폭발로 화재,  February  10,  2026

       Munhwa.com,  경산 송유관공사 옥외탱크 화재 3시간만에 진압,  February  10,  2026

       News1.kr,  경산저유소 탱크 폭발, 샘플 채취 과정서 '정전기' 추정,  February  10,  2026

       Jeonmae.co.kr,  경산 송유관공사 휘발유 저장탱크 폭발·화재7년 만에 재발,  February  10,  2026

       Newsis.com,  경산 송유관공사 저장탱크 폭발 화재, 관계기관 합동감식,  February  12,  2026


後 記: 今回の事例に接してまず感じたのは、他の国に比べて韓国のメディアがよく情報を集めて記事にしているということでした。一日で事故の推定原因まで記事にしています。

一方、ブログにまとめてみると、タンク上でのサンプル採取者の静電気説に違和感があり、すっきりしません。被災写真からタンク側板の少ない焼けた跡についても疑問が出てきて、タンクへの供給油の過充填も考えてみました。監視カメラにタンク屋根が外れる場面がないのはなぜか、タンク配置のアクセス性が悪いことが関係しているのではないか、コーンルーフ式固定屋根型タンクの屋根が噴き飛んだ後の屋根サポートが障害物になって消防車からの消火泡がうまく入らないのではないかなどの疑問がつぎつぎと出てきました。結局、疑問を解消させるような記事や写真が出てくることはなく、ブログをまとめました。

  

2026年2月20日金曜日

スペインの製油所で簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンクが爆発・火災か

 今回は、2026126日(月)、スペインのムルシア州カルタヘナにあるレプソル社のカルタヘナ製油所において古い簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンク付近で爆発が発生し、火災になった事例を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、スペイン(Spain)ムルシア州(Murcia)カルタヘナ(Cartagena)にあるレプソル社(Repsol)のカルタヘナ製油所である。製油所の精製能力は22万バレル/日であるが、2023年に再生可能燃料の大規模製造装置を稼働させた。

■ 事故があったのは、製油所内の古い簡易常圧蒸留装置の原油貯蔵タンク付近とみられる。

<事故の状況および影響>

事故の発生

■ 2026126日(月)午後6時頃、カルタヘナ製油所で原油貯蔵タンク付近で爆発が起こり、火災が発生した。現場にいた目撃者によると、 事故発生時に3回の爆発音が聞こえたという。

■ 現場から巨大な黒煙が立ち昇り、カルタヘナ住民が衝撃を受けるほどだった。黒煙を見て数十件を超す緊急通報が寄せられた。

■ 事故は製油所内の最も古いセクションの一つであるトッピング3ユニットと呼ばれる簡易常圧蒸留装置で発生した。火災現場が発生した地区は主要な生産プラントとは離れており、火災が広がる危険性は少ないとみられた。

■ 最初の爆発から火炎・濃い黒煙の組み合わせは、近隣の住民に不安を引き起こした。火災による黒煙について、当局は、重炭化水素の不完全燃焼から生じる潜在的に有毒な雲と表現した。このため、地方政府は、工場敷地外の住民に影響を及ぼす可能性のある産業事故の対応として、同地域の化学部門を対象とした外部緊急時対応計画を発動することとした。

■ カルタヘナ製油所は発災後、直ちに社内緊急時対応計画を発動し、自衛消防隊で火災を制御可能であり、負傷者の報告はなく、火災が製油所構外に広がる危険性はないと騙った。

■ カタルヘナ製油所の自衛消防隊は、この種の火災の対応基準どおりに対応をとった。炭化水素の供給を遮断し、すでに放出された燃料を制御された方法で消費させ、隣接する領域を冷却して、他の機器やタンクへの延焼を防止した。

■ 当局は、カルタヘナ市の消防隊と地元警察を現場に派遣した。製油所内の自衛消防隊の活動と並行して、カルタヘナ市消防局の消防隊と地元警察とによる予防的配置が製油所の所外に設置され、必要に応じて介入できるようにした。市当局によると、最初の数時間は主に監視と支援が彼らの役割だった。

■ 州政府は、民間防衛警報システム(ES-Alert) を通じて近隣のアルンブレス、エスコンブレラス、ポルトマンを含めた住民に対して屋内に留まり、ドアと窓を閉めるよう指示し、車を運転中の人には周辺地域を避けるよう指示した。また、健康に害を及ぼす可能性のある煙が漂っていることについて明確に警告した。  

■ カルタヘナ市長は、技術者と警備員を伴って、事故発生時に製油所を訪れ、工場関係者と面会し、状況を聞いた。

■ レプソル社のカルタヘナ製油所はプレスリリースで、「本日午後550分、カルタヘナ工業団地の3号機上部で火災が発生しました」と発表し、「新たな情報が入り次第、引き続き最新情報を提供していきます」と付け加えた。 

 市議会は、住民に対し警戒を怠らないよう呼びかけ、「直ちに危険はありませんが、念のため屋内に留まり、ドアと窓を閉めてください」というメッセージを出した。

■ 事故にともなう死傷者はいなかった。

■ 主要なアクセス道路は通行規制が行われた。

■ 爆発は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクで発生したとみられる。または、原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備かもしれないという。

■ 地方政府とカルタヘナ市議会は、住民は市政ポータルなどの公式ソーシャル・メディア・アカウントといった公式のチャンネルを通じてのみ情報を入手すべきだと主張した。同時に、カルタヘナ市議会の市民保護局職員が動員され、現場の住民との直接的なコミュニケーションを強化した。

 また、屋内に留まり通気口を閉じるというES-Alertのメッセージによる勧告は午後9時まで有効だったが、市議会は現場に最も近い地域では、夜間もこれらの予防措置を維持するよう求めた。

 ■ ユーチューブなどでは、火災のニュースを伝える動画が投稿されている。

 Youtube ÚLTIMA HORA | Se incendia una refinería de Repsol en Cartagena y piden evitar desplazamientos2026/01/27

 ●Facebook Un incendio en las instalaciones de Repsol en Cartagena (Murcia), ha provocado una gran columna de humo negro, visible desde varios puntos Protección Civil ha emitido ES-Alert para pedir a la población cercana que 2026/01/27

被 害

■ 爆発・火災で簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは装置内の設備が損壊した。

■ 住民に対して屋内に留まり、ドアと窓を閉めるよう避難指示が出された。

■ 道路の通行規制が出された。

< 事故の原因 >

■ 爆発・火災の原因は調査中である。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられる。

< 対 応 >

■ 火災は午後9時頃までに制圧されたと報じられた。一方、消防署の職員によると、午後9時頃、自衛消防隊は火を封じ込めたものの消し止めることはできず、さらに火災現場を冷却する作業を行っていたという。

■ 通行規制が出されていた幹線道路は、午後9時以降に煙が収まると、規制が解除された。

■ カタルヘナ製油所は、当局に対し、火災は235分から2326分頃に完全に鎮火したと報告した。

■ 地元の消防隊、警察、民間防衛隊が現場に待機していたが、再燃や延焼の恐れがなくなったことが確認され、対応に介入する必要はなかった。このため、午後1130分までに全隊が基地に戻った。

■ 製油所の火災は鎮圧されたが、煙が町にまで達する恐れがあるため、予防措置として近くの住民には、引続き、外出禁止令が出された。

■ 爆発・火災の原因は調査中である。レプソル社は、事故の正確な原因を明らかにし、原油貯蔵または処理エリアでの最初の爆発の正確な発生源を特定し、すべての安全システムと検知システムの運用を再検討するため、社内調査を開始したと発表した。

■ 火災の鎮火後、安全状況が確認され、カタルヘナ製油所の操業は通常の状態に戻った。

■ 一方、エコロジスト・イン・アクションなどの環境保護団体は、地方行政とカルタヘナ市議会に徹底的な調査と情報ファイルの公開を求めた。これにより、特に空気質による近隣住民の健康への影響に関して、潜在的な責任の決定と事故の実際の影響の評価が可能になる。

 エコロジスト・イン・アクションは、このような出来事は、汚染物質の排出に対する国民による規制強化の必要性を浮き彫りにし、通常の操業状況と事故発生時の両方において、石油化学やエネルギー施設に関連するリスクについて国民に透明性のある情報を提供する必要があると主張している。

■ カタルヘナ製油所火災では負傷者は出ず、数時間で鎮火したが、この事故により、産業安全と地元地域の住民保護に関する議論が再び注目を集めている。また、効果的な緊急時対応計画、ES-Alertなどの迅速警報システム、大規模な炭化水素処理施設に伴う環境・健康への潜在的な影響の厳格な監視の重要性も浮き彫りになった。

補 足

■「スペイン」(Spain)は、欧州のイベリア半島に位置し、人口約4,859万人の議会君主制国家である。首都はマドリード(人口約325万人)である。

「ムルシア州」(Murcia)は、スペインの南東部に位置し、人口約142万人の自治州で、州都はカルタヘナである。

「カルタヘナ」(Cartagena)は、ムルシア州の南部にあり、地中海に面し、人口約21万人の港湾都市である。

■「レプソル社」Repsolは、総合石油・ガス会社である。主な事業は、油井の探査、開発、原油の生産・精製、LPガスやCNG(圧縮天然ガス)の販売、炭化水素の取引、その他の特殊製品の製造である。レプソル社は、北米、アフリカ、欧州、ラテンアメリカ、アジア、オセアニアの卸売、小売、産業顧客に製品を提供しており、スペインのマドリードに本社を置いている。スペインとペルーで製油所を運営している。

 カルタヘナ製油所は1950年に操業を開始し、精製能力は22万バレル/日で、カルタヘナのエスコンブレラス港から原油を受け入れている。一方、 2023年に再生可能燃料の大規模製造装置を稼働させ、国内産や欧州産の使用済み食用油などの有機廃棄物 30 万トンから高付加価値製品に変換し、年間 25 万トンの燃料を生産する能力を備えている。

■「発災場所」ははっきりしない。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられる。原油貯蔵タンクとすれば、貯油エリアの大型貯蔵タンクではなく、簡易常圧蒸留装置に付帯し、圧力変動を緩和・安定させるために使用される小型のタンク(容器)ではないかと思われる。グーグルマップで調べても、情報が少なすぎて、場所を特定できなかった。

所 感

■ 事故原因はわからず、調査中である。爆発・火災の発生場所は、簡易常圧蒸留装置に付帯する原油貯蔵タンクまたは原油をディーゼル燃料に加工する簡易常圧蒸留装置の設備で発災したとみられている。

 一般にプロセス装置の火災は、燃焼源の供給を停止すれば、大きな火災にはならない。しかし、被災写真を見ると、火炎は大きく、発災時間は3時間(午後6時~9時)を超す火災になっているので、貯蔵タンクまたは圧力容器の火災ではないかと思う。貯油エリアの大型貯蔵タンクからの供給原油を停止しても、発災タンク(容器)から流出する原油が燃焼して比較的長い火災になったのではないだろうか。爆発は原油タンク内に爆発混合気が形成し、静電気などの引火源によって発災したものだろう。または、設備の不具合で原油が流出して何らかの引火源によって爆発したのではないだろうか。

■ 製油所内の自衛消防隊による消火活動の状況はあまり報じられておらず、はっきりとはわからない。「火災は午後9時頃までに制圧されたと報じられた一方、消防署の職員によると、午後9時頃、自衛消防隊は火を封じ込めたものの消し止めることはできず、さらに火災現場を冷却する作業を行っていたという」というので、消火戦略は、積極的戦略をとらず、防御的戦略で冷却を主にしたのではないか。火災はほとんど燃料が燃え尽きる状態で消えたものだったと思われる。もともと発災は爆発で始まり、事故発生時に3回の爆発音が聞こえたというので、発災現場は爆発の危険性のある火災であり、消防士の安全を考慮した防御的戦略をとるのが適切だったと思う。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

     Murcia.empresas.de, Una explosión en un tanque de crudo provoca un incendio en la refinería de Escombreras,  January  26,  2026

    Murciatoday.com, Fire breaks out at Escombreras refinery, now fully extinguished,  January  26,  2026

 ・Euroweeklynews.com, Repsol fire sends massive plume of smoke over Cartagena and nearby towns,  January  27,  2026

    Joiff.com, SPAIN – Fire at Escombreras refinery brought under control with no injuries,  January  28,  2026

    En.meteorologiaenred.com, Everything we know about the fire at Repsol's Cartagena refinery,  January  28,  2026

    Elinconformista.com, Extinguen un incendio en la refinería de Repsol en Cartagena,  January  27,  2026

    La7tv.es, Repsol abre una investigación para esclarecer el origen del incendio en Escombreras,  January  27,  2026

    Cope.es, Un incendio en la refinería de Repsol en Cartagena provoca una gran columna de humo y Protección civil manda una alerta a los móviles de los ciudadanos de la zona,  January  26,  2026

    20minutos.es, Extinguido el incendio en la refinería de Repsol en Cartagena, que obligó a enviar un mensaje Es-alert a la población,  January  27,  2026

    Murcia.empresas.de, Una explosión en un tanque de crudo provoca un incendio en la refinería de Escombreras,  January  26,  2026

    Cadenaser.com, Extinguido el incendio en la factoría de Repsol en Cartagena que supuso enviar un ES-ALERT a la población cercana a Escombreras,  January  26,  2026


後 記: 今回の事例は煙による人体への影響が懸念される可能性があるというアラームが出されたので、報道は住民の避難指示に関することが中心になりました。このためか、事業者への気遣いもあり(?)、大きな事故でありながら、なぜ起こったのかという事故原因への深堀が浅いように感じました。「スペインのバルセロナの貯蔵施設で酢酸メチルタンクが爆発・火災、死傷者5名」20251月)の事例で感じていたことと同様です。ただ、今回はドローンによる映像はありませんでしたが、発災現場に比較的近いところから撮った写真(標題の写真)があったのは救いです。と言っても、何が火災になっているのかは判別できませんが。

2026年2月15日日曜日

ロシアで対ドローン防御設備を施した貯蔵タンクが攻撃で被災

 今回は、20251231日(水)、ロシアのヤロスラヴリ州ルイビンスク市にあるテンプ石油貯蔵所の貯蔵タンクがウクライナの無人航空機(ドローン)の攻撃によって被災した事例を紹介します。被災した貯蔵タンクは無人航空機(ドローン)の防御設備を有していました。

< 発災施設の概要 >

■ 被害があったのは、ロシア(Russia)ヤロスラヴリ州(Yaroslavl)のルイビンスク市(Rybinsk)にあるロシア連邦国家準備金庁 (Rosrezerv) に従属するテンプ石油貯蔵所である。ルイビンスクはロシア軍の主要な物流・輸送拠点であり、石油貯蔵所はロシア北東部全域にわたる石油製品の貯蔵と配送の重要な拠点となっている。

■ 発災があったのは、テンプ石油貯蔵所内にある無人航空機(ドローン)の防御設備を有した燃料用の貯蔵タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 20251231日(水)早朝 、テンプ石油貯蔵所の貯蔵タンクがウクライナの無人航空機(ドローン)の攻撃によって火災が発生した。

■ 火災は大規模で数km先の遠いところでも見えた。地元住民によると、ルイビンスクでは空襲警報が発令された後、爆発音が鳴り響き、続いて火災が発生したという。

■ 被害のあったのは石油貯蔵所の南西地区で、2基の大型貯蔵タンクが損傷した可能性があるという。

■ これらのタンクは金属製のフレームとグリッド(メッシュ)で囲まれ、タンクから離れた場所で無人航空機(ドローン)を起爆させるよう設計された防御設備を有していた。この防御設備は前線の戦車(装甲車両)に装備されたものから派生したものである。

 石油貯蔵所の西側のタンクには、新しい防御設備によって防護されているのが20256月時点の衛星画像によって確認されていた。 1231日(水)に損傷したのはこの防護されたタンクだった。攻撃の標的は、ロシアが2024年から追加した防御設備で防護しようとしていた石油タンクだったとみられる。

被 害

■ 対ドローン防御設備を有していた貯蔵タンクが無人航空機(ドローン)の攻撃で火災となり、損傷した。

< 事故の原因 >

■ 原因は、テロによる“故意の過失”でなく、戦争時の無人航空機(ドローン)による攻撃である。 

< 対 応 >

■ 石油貯蔵所の火災は11日(木)には鎮火した

■ 202615日(月)、ドローン攻撃を受けたテンプ石油貯蔵所の衛星画像が公開され、大型燃料タンク1基が火災により全焼したという。火災が拡大したため、隣接する複数のタンクが大きな被害を受けた可能性がある。

■ ウクライナは数か月にわたり、ロシアの製油所や燃料貯蔵所を正当な軍事目標と称し、組織的に攻撃を続けている。これらの施設では、軽油やガソリンなどの石油がロシア軍への供給に利用されるか、海外に売却され、その収益はロシアの対ウクライナ戦争遂行の維持に役立てられているという。

補 足

■「ルイビンスク」は、ヴォルガ川流域に位置し、鉄道が通っており、交通と物流の中心地として機能している。

■「テンプ」(Tempo)は、ロシアの連邦国家予算機関でロシア連邦国家準備金庁 (Rosrezerv) に従属する国営機関である。この機関の主な機能は、緊急事態や動員の必要が生じた場合に備えて、国家備蓄品(物質的資産)を戦略的に保管・蓄積することである。テンプのプラントは、ロシアの国家備蓄システムであるロスレゼルブの一部であり、燃料貯蔵に使用されている。

■「対ドローン防御設備」は、戦車などの装甲車両から離れた場所でドローンを起爆させるために設計された金属フレームとメッシュ構造である。

一般にはコープ・ケージ(Cope Cage)やマンガル(Mangal)」と呼ばれる。ロシアのウクライナ進行の際に広く採用され、無人航空機(ドローン)の爆発物や投下された弾薬が戦車などの上部装甲に直接接触する前に起爆するよう設計されている。

 当初は、強力な対戦車ミサイルに対しては効果が薄いとされていたが、現代のドローン戦においては一定の効果があるとして、現在では米国や韓国など世界各国の戦車で採用や技術が進んでいるという。設計は単純な溶接鉄筋グリッドから高度な多層金属シートへと進化し、ドローン制御信号を無効にする電子戦 (EW) 妨害装置と組み合わせられることが多くなっている。

 ロシアがウクライナとの戦争で対ドローン防御の先駆者であったが、ウクライナ軍も自国の車両に対ドローン防御設備を模倣し始めている。

■ 戦車の 「対ドローン防御設備」は、同様の対策が製油所や石油貯蔵所でも講じられている。モスクワ近郊の製油所や石油貯蔵所では、インフラストラクチャー施設の広範囲を覆う金属ケーブルによる防御措置が実施されている。この設計は、直径8mmの金属ケーブルをかなりの高さに固定し、ケーブル同士の間隔を60cmにしてネットワーク状に敷設するという。標題の貯蔵タンクの対ドローン防御設備は戦車と同様、金属フレームとメッシュ構造で構成されている。

■「被災タンク」の大きさなどの仕様は報じられていない。グーグルマップで調べると、被災タンクの直径は約22.5mであり、高さを1520mとすれば、容量は6,0008,000KL級の貯蔵タンクである。油種は分からない。 

所 感

■ 貯蔵タンクの対ドローン防御設備が無人航空機(ドローン)の攻撃で突破され、タンクが火災になった事例である。もともと戦車の対ドローン防御として使用されていたものを貯蔵タンクに応用したものとみられる。ロシアーウクライナの戦争においてミサイルに変わって無人航空機(ドローン)による燃料タンク攻撃が主流になってきたことから、ロシアで開発されたものである。

「ロシア連邦タタールスタン共和国の石油タンクが長距離攻撃用無人機で被災」20251月)では、所感の中で「このような状況にあり、日本の貯蔵タンクを運営する一(いち)事業者にとっては、テロ対策をとろうにも限界を越えている。公的機関による無人航空機(ドローン)によるテロ対策を考えていく必要がある」と書いた。ロシアは、戦争遂行上、戦車の対ドローン防御方法を応用したのだろう。

 標題の画像の貯蔵タンクへの対ドローン防御の実施策を見ると、既設タンク群への対応はコストの高いものになっている。しかし、新しいタンク建設時に考慮すれば、コストは下がるだろう。しかし、一番の欠点はタンク火災時の消火活動に支障があることだと思われるが、今回の事例では、消火活動について一切報じられていない。(戦争事なので、報道されないだろうが)


備 考

  本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Uv.ua, Спутниковые снимки подтвердили значительные разрушения «защищенной» части нефтебазы в Ярославской области РФ,  January  01,  2026

   English.nv.ua, SBU strikes major Rosrezerv oil depot in Russia’s Yaroslavl Oblast with long-range drones,  January  01,  2026

  English.nv.ua, Satellite Images Show Damage From Strike on Oil Depot in Yaroslavl Region on December 31,  January  06,  2026

  Pravda.com.ua, Ukraine's Security Service hits oil storage facility in Russia's Yaroslavl Oblast – Ukrainska Pravda sources,  January  01,  2026

  Ukrinform.net, SBU hits major oil depot in Russia's Yaroslavl region – SBU,  December  31,  2025

   Uawire.org, Ukrainian drones strike Russia’s Rosrezerv fuel depot in Yaroslavl region, sparking major fire,  December  31,  2025

  Babel.ua, SBU drones attacked a large oil depot in the Yaroslavl region of the Russian Federation,  December  31,  2025

  Militarnyi.com, Satellite Images Show Damage From Strike on Oil Depot in Yaroslavl Region on December 31 ,  January  07,  2026

  Dw.com, ВСУ: Украинские беспилотники атаковали нефтебазу Росрезерва,  December  31,  2025

  Pravda.com.ua, Нефтебазу в Ярославской области поразили дроны СБУ – источник,  December  31,  2025

   24tv.ua, “Защищенная” часть нефтебазы в Ярославской области России значительно разрушена: спутниковые снимки ,  January  01,  2026


後 記: 1年ぶりにロシアーウクライナ戦争によるタンク事例をブログに取り上げました。2022年の「ウクライナ各地で石油貯蔵所が攻撃によってタンク火災」を報じて以来、両国のタンク事例をときおりに取り上げ、ブログで紹介してきましたが、この12年でドローン戦争はますます激化し、貯蔵タンクなどのインフラストラクチャーの対ドローン防御設備が実施されていることにびっくりします。戦争は技術を進歩させるというのを感じますが、人が疲弊し、国を荒廃する見返りとしての技術進歩ってありえないでしょう。

2026年2月9日月曜日

米国ノースダコタ州で石油販売会社の燃料タンクが爆発、タンク屋根が噴き飛ぶ

 今回は、2026110日(土)、米国ノースダコタ州マンダンにある石油販売会社のグレイ・オイル社の施設で燃料タンクが爆発し、タンク屋根が噴き飛んだ事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 事故があったのは、米国ノースダコタ州(North Dakota)モートン郡(Morton)マンダン(Mandan)にある石油販売会社のグレイ・オイル社(Gray Oil)の施設である。

■ 発災があったのは、マンダンのSE40番街2110番地にあるグレイ・オイル社の施設内にある燃料タンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2026110日(土)午前9時頃、グレイ・オイル社の施設で燃料タンクが爆発した。

■ マンダンと周辺地域では大きな爆発音が聞こえ、人々の神経を揺さぶった。

■ 発災にともない、マンダン消防署が出動した。

■ 消防隊が現場に到着すると、9基あるタンクの中で、発災したのは1基に限定されていた。しかし、この事故により近隣の建物6棟に窓が割れるなど被害が出た。

■ 爆発でタンク屋根部がグレイ・オイル社の敷地外の道路を越えて約340フィート(104m)噴き飛び、駐車場に落下していた。

■ 当局によると、現場では医療関係者が数人を診察したが、この事故による負傷者はいなかったという。

■ 事故の原因は不明であり、調査が行われた。マンダン警察は、マンダン消防署が捜査を主導することを確認した。

■ ユーチューブやフェイスブックでは、事故の状況を伝える動画が投稿されている。 特に3番目のフェイスブックの動画は監視カメラで爆発の瞬間をとらえたものである。  

 Youtube Fuel tank explosion this morning in Mandan2026/01/11

 ●Facebook Explosion in Mandan2026/01/11

 ●Facebook FOR IMMEDIATE RELEASE: Gray Oil Explosion Incident   2026/01/21




被 害

■ 燃料タンク1基が損壊した。内部にあった燃料の残油が焼失した。

■ 近隣の建物6棟に窓ガラスが割れるなどの被害があった。

■ 死傷者はいなかった。

< 事故の原因 >

■ 爆発の原因は、タンク付近で火気使用の作業を行っており、タンクまわりでの火気管理のミスである。

< 対 応 >

■ マンダン消防署長は、「市内でこのような事態が発生するのは稀です。しかし、被害や人命の損失に関しては、他の状況と変わりません」と述べた。

  120日(火)、マンダン消防署は、グレイ・オイル施設で発生した燃料タンク爆発の調査を完了した。調査中に得られた情報にもとづき、この事故は偶発的なものであり、9基のタンクからなるシステム内の1基のタンク付近で火気使用作業中に発生したと判断された。タンクでの作業は事故発生前の1週間ずっと継続されていたという。この事故により、6棟の建物が損害を受けた。燃料タンクの屋根は、事故発生時、元の位置から約340フィート(約104m)離れた駐車場に噴き飛んだ。 

 マンダン消防署は調査結果を文書化し、施設事業者(グレイ・オイル社)と認識を共有した。今後の補修、是正措置、運用の改善については、施設事業所と関係当局が対応するという。

補 足

■「ノースダコタ州」(North Dakota)は、米国の北部に位置し、カナダに接する州で、人口約79万人である。州都はビスマルク市である。ノースダコタ州はシェールオイルの生産による石油ブームが続いており、石油生産量はテキサス州につぐ全米第2位になっている。

「モートン郡」(Morton)は、ノースダコタ州の南部に位置し、人口約34,000人の郡である。

「マンダン」(Mandan)は、モートン郡の東境に位置し、人口約24,000人の都市である。

■「グレイ・オイル社」(Gray Oil)は、1920年代に設立された家族経営的な石油販売会社である。ノースダコタ州マンダンに本社があり、農業生産者・住宅所有者・企業にディーゼル、ガソリン、プロパン、灯油、燃料添加剤、潤滑油を供給している。

■「発災タンク」の大きさや油種などの仕様は報じられていない。グーグルマップで調べると、直径は約3.6mである。高さを68mとすれば、容量は6080KL級の円筒タンクである。

 爆発の瞬間を写した監視カメラの動画によると、作業員の姿が無く、タンクに光が見えたのち、タンク屋根が噴き飛んでいる。このことは、タンク屋根のベント配管が臭気対策などでタンク側板下部まで立下っていて、この末端から可燃性ガスが漏出し、火気作業の何らかの引火源によって火が付き、配管を通じてタンク内の爆発混合気が爆発を生じたのではないだろうか。グレイ・オイル社が取扱っている石油の中で爆発を起こしやすい油種はガソリンとプロパンであるが、円筒タンクに貯蔵していたことから油種はガソリンだと思われる。

所 感

■ 爆発の原因は、タンク付近で火気使用の作業を行っており、タンクまわりでの火気管理のミスである。人身事故は無かったが、米国CSB(化学物質安全性委員会)がまとめた「タンク内外の火気工事における人身事故を防ぐ7つの教訓」20117月)のつぎの項目のいずれかが欠けていたと思われる。

  ①代替方法の採用、 危険度の分析、   作業環境のモニタリング、

  ④作業エリアのテスト、⑤着工許可の発行、⑥徹底した訓練、⑦請負者への監督

■ 爆発後の火災は、監視カメラの動画によると、軽微ですぐに薄い煙に変わっている。このことから、タンク内の燃料は残油程度で多くなかったと思われる。発災現場の向かい側が消防署であるが、消火活動を行った形跡は無い。爆発直後に作業員らしい人影がタンクのそばを慌てる様子もなく、ゆっくり歩いているので、緊迫した状況ではなかったと思われる。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

   Kxnet.com, Oil tank explosion in Mandan,  January 10, 2026

   Kfyrtv.com, Mandan oil tank explosion still under investigation,  January 13, 2026

   Cityofmandan.com, MFD Completes Fuel Tank Explosion Investigation,  January 20, 2026

   Us1033.com, An Explosion Just Shook Bismark, Mandan Lincoln,  January 10, 2026 


 後 記: 今回の事例では、監視カメラによる映像が投稿されていて状況の理解度が増しました。監視カメラがどこに設置されているのか気になってグーグルマップを調べてみました。すると、現場のすぐ前に消防署があり、その建物にある監視カメラだということが分かりました。

 それにしても、110日の事故に対して120日にマンダン消防署は調査結果を文書化し、施設事業者(グレイ・オイル社)と認識を共有し、今後の補修、是正措置、運用の改善については、施設事業所と関係当局が対応するということです。事故を今後に活かすという点において今回のノースダコタ州の事例は速い対応で、他の州や国も見習って速い公表をしてもらいたいものです。