2020年8月15日土曜日

米国オクラホマ州の原油生産施設で落雷によるタンク火災

  今回は、米国オクラホマ州ビーバー郡ターピンにある原油生産施設で落雷によって起こったタンク火災事故を紹介します。

< 発災施設の概要 >

■ 発災があったのは、米国オクラホマ州(Oklahoma)ビーバー郡(Beaver)ターピン(Turpin)にある原油生産施設である。


■ 事故があったのは、原油生産施設のタンクである。

< 事故の状況および影響 >

事故の発生

■ 2020年3月30日(月)夕方、原油生産施設のタンクに落雷があり、火災になった。


■ 雷雲から地上へ雷が落ち、油貯蔵タンクに直撃し、あたりは炎に包まれた。


■ 発災に伴い、ターピンと州の消防隊が現場に出動した。


■ ストーム・チェイサー(嵐の追跡者)がちょうど現場を通りがかり、警察や消防隊が現場に到着する前から火災の状況を撮影し、ユーチューブに投稿した。

(Youtube「3-30-2020 Turpin, OK - Oil storage fire from lightning strike」を参照)

■ 事故に伴う負傷者はいなかった。

補 足

■「オクラホマ州」(Oklahoma)は、米国の中央部に位置し、テキサス州の北にあり、人口約3,950万人の州である。風の強い地域で風力発電設備が少なくないが、それ以上に原油・天然ガスの生産が多く、再生エネルギー使用状況は米国内で最下位である。

 「ビーバー郡」(Beaver)は、オクラホマ州の西部に位置し、人口約5,300人の郡である。

 「ターピン」(Turpin)は、ビーバー郡の西方にある自治体が管理していない集落で、人口は約460人の町である。

■ 発災した「原油生産施設の所有者」は報じられておらず、分からない。


■「発災タンク」は、被災写真が報じられている以上のことは分からない。場所は幹線道路沿いであり、グーグルマップで調べたが、該当するようなタンク設備は見つけ出すことができなかった。映像によると、タンク高さは人の2~3倍とみられるので、仮に5.0mとすれば、高さ:直径の比から直径は3.6m程度である。従って、容量は50KL級のタンクと思われる。


■「ストーム‐チェイサー(嵐の追跡者)」(Storm Chaser)は、主に米国において竜巻を追跡して観測・記録を行う専門家である。気象データから竜巻の発生ポイントを割り出し、車で移動しながら撮影を行う。撮影した映像は竜巻研究の資料として研究機関に提供されたり、衝撃的な映像としてメディアに提供されたりする。竜巻は時に予測不可能な動きをするため、撮影には常に危険が伴い、自らが竜巻の被害に遭う例もある。

所 感

■ 今回の事故は映像以外の情報がなく、状況ははっきりしない。しかし、ある面、米国らしい原油生産施設の火災だと感じる。まず、米国における陸上の原油生産施設はだいたい道路に近いところにあるが、今回のタンクの設置場所は幹線道路沿いである。自動車による火源を気にしていない。また、タンク火災になっているのに、車は速度を緩めることなく、際を走り抜けている。オクラホマ州はどこでも原油生産施設が設置されており、危険源の意識は希薄だと思われる。さすがに、警察や消防が来れば、道路の交通規制が始まった。


■ 消火活動は必要最小限という印象をもつ。当初は、道路沿いの草地が燃えているのを消火している程度である。おそらく、消防車の保有している水が限られているためだろう。これまでの事例でも、原油生産施設や塩水処理設備のタンク火災における消火戦略は不介入戦略をとることが多かった。どのように消火したかの映像はないが、タンクの火炎を見ると、油が激しく燃えているようではないので、油量は多くなく、燃え尽きるのを待ったのではないだろうか。再燃しないように、タンク側板を消防車からの放水で対応していると思われる。一連の消防活動を見ていても、緊迫した印象はなく、慣れた活動のように思ってしまう。


備 考

 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである。

    ・Youtube.com, 3-30-2020 Turpin, OK - Oil storage fire from lightning strike,  March  30,  2020



後 記: 7月から米国における原油生産関連施設のタンク火災を取り上げてきました。これは新型コロナウイルスの影響だと思いますが、例年に比べて落雷によるタンク火災事故の情報が少ないと感じ、ローカルの報道に広げて調べたためです。しかし、これで一連で集めた事故情報は一区切りしました。


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