2017年7月18日火曜日

米国ワイオミング州で硫黄の山の幻想的な災の火災

 今回は、2017年7月7日(金)、米国ワイオミング州(Wyoming)ワシャキー郡(Washakie)ウォーランド(Worland)のハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラント硫黄の山で起った火災を紹介します。
< 発災施設の概要 >
■ 事故があったのは、米国ワイオミング州(Wyoming)ワシャキー郡(Washakie)ウォーランド(Worland)のハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラントのあったところである。

■ 発災があったのは、旧硫黄プラントの硫黄の山である。旧硫黄プラントは1950年代にテキサス・ガルフ・サルファー・プラント(Texas Gulf Sulfur Plant)が操業していた。
ウォーランド北のハイウェイ20号線沿い付近 (矢印が火災が発生したとみられる場所) 
(写真はGoogleMapから引用)
< 事故の状況および影響 >
事故の発生
■ 2017年7月7日(金)午後10時30分頃、ウォーランドのハイウェイ20号線沿いのある旧硫黄プラントのあったところで火災が起った。南に隣接するカー部品リサイクル会社のピート・スメット・リサイクリング社から通報があった。

■ 発災に伴い、ボランティア型のウォーランド消防署が出動した。現地に到着したとき、消防隊は不思議な光景を見た。硫黄の山で幻想的な炎の火災が生じていた。

■ 硫黄の山は、1950年代に操業していた硫黄プラントが閉鎖して残されたものである。硫黄は100%純粋な状態のものでなく、大半は土と混ざったものだった。

■ 着火の原因はオートバイの排気管によるものとみられる。火災の1時間ほど前に、ひとりのライダーがこの場所でオフロード用バイクを乗り回しているのが目撃されている。ライダーが硫黄の山を駆け抜けたとき、硫黄が排気管と直接接触したか、高温の排気ガスによって着火したとみられる。

■ 紫色の炎は幻想的であるが、この種の火災は極めて危険性が高い。美しい炎にも関わらず、硫黄が燃えると、二酸化硫黄(亜硫酸ガス)という有毒なガスが生じ、強い刺激臭がある。

■ 火災はお椀状の場所で発生したため、火が旋回するような形で燃え続けていた。消防隊は防護服と自給式呼吸器を装着して火災への対処を始めた。消防隊は消防車に積んだわずかな水と泡消火剤を用い、溶融状態にある硫黄の温度を150℃以下に冷却しようとした。そうすることによって、硫黄の表面が固まるからである。消防隊は約20分で消火することができた。

■ この種の火災は一般的ではないが、安全且つ迅速に対処する必要がある。幸い、ウォーランド消防署には、ハズマット(HazMat)隊員がおり、硫化水素や二酸化硫黄の取扱いについて理解していた。

■ この火災によって住民が避難する必要は出なかった。
 
被 害
■ 火災による物的損害は無かった。また、火災に伴う負傷者も無かった。

< 事故の原因 >
■ 火災の原因は、硫黄がオートバイの高温の排気管で着火したものとみられる。

< 対 応 >
■ 火災のビデオがインターネットで紹介されると、全国的に注目されることとなった。ウォーランド消防署は、他の消防署が訓練用ツールとして使うことを希望しているという。
 (動画は、Youtube 「Sulfur Fire in Washakie County, Worland, WY.」を参照)

補 足
ワイオミング州の位置 
(図はHttpontheworldmap.com から引用)
■ 「ワイオミング州」は、米国中西部に位置し、人口約58万人と全米50州の中で最も人口の少ない州である。州は山岳・高原地域で、ロッキー山脈やイエローストーン国立公園がある。
 「ワシャキー郡」(Washakie County)は、米国ワイオミング州北中央に位置し、人口約8,200人の郡である。

 「ウォーランド」(Worland)は、ワシャキー郡の北部に位置し、人口約5,400人の町である。 
ウォーランドの火災発生とみられる場所 
(写真はGoogleMapから引用)
所 感
■ 事故情報を知って初めて動画を見たときには、なんと神秘的な炎だろうと感じた。米国で最も人口の少ない州のボランティア型の一消防署からフェースブックで発信され、全国的なニュースとして取り上げられただけある興味深い映像である。しかし、これも火災である。硫黄の炎を実験で見たことがあっても、このような大規模な炎(火災)を見ることはなく、ハズマット(HazMat)隊にとっては貴重な映像になるだろう。


備 考
 本情報はつぎのインターネット情報に基づいてまとめたものである
      ・Youtube.com,  Sulfur Fire in Washakie County, Worland,  July  09,  2017
      ・Eastidahonews.com,  Watch: Wyoming Sulfur Fire Creates ‘beautiful Flames’ and ‘Hazardous Gas’,  July  10,  2017
      ・Aol.com,  Firefighters Called to Battle Ghostly, ‘Unknown Type of Fire,  July  11,  2017
      ・Whodaily.com,  Video of Sulfur Fire Goes Viral,  July  12,  2017 
      ・Upi.com,  Wyoming Fire Department Shares Footage of Unusual Sulfur Flames,  July  13,  2017
      ・Abc13.com, Evacuation lifted after tank farm fire in Beach City,  May 12,  2017 click2houston.com
      ・Edition.cnn.com, Radiant, toxic sulfur inferno caught on camera,   July 13,  2017
      ・ Washingtonpost.com, Watch: This crazy, blue burning sulfur at a landfill is literally ‘fire and brimstone’,   July 10,  2017 


後 記: 火山の多い日本では、硫黄の山は珍しいものではありません。箱根の大涌谷、北海道の川湯温泉、九州霧島の硫黄山などで見ることができます。しかし、閉鎖された硫黄プラントの跡地に硫黄の山が残っているというのは、広大な米国らしいというか、大らかな1950年代の遺物ですね。貯蔵タンクの事故情報ではありませんが、極めて珍しく、幻想的な映像ですので、紹介することとしました。動画の中で、撮影者の自給式呼吸器の呼吸音と警報音(?)がまた印象的ですね。

0 件のコメント:

コメントを投稿