2013年7月25日木曜日

米国モンタナ州で落雷によるタンク火災

 今回は、2013年7月7日、米国モンタナ州マッスルシェル郡ラウンダップの北にある油井用の石油貯蔵タンクに落雷があり、火災となった事故を紹介します。
モンタナ州ラウンダップ近くの油井用石油施設の落雷によるタンク火災 
(写真はMissoulian.comから引用)
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいてまとめたものである。
  ・BillingsGazette.com, Lightning Sparks Fire at Oil Storage Tank near Roundup,  July 08,  2013
      ・KRTV.com,  Lightning Strike Causes Oil Storage Tank Fire North of Roundup,  July 08,  2013  
  ・Missoulian.com,  Lightning Strikes Roundup Oil Storage Tank, Starts Fire,  July 08,  2013   
  ・KBZK.com, Oil Storage Tank Fire Burns Out; No Oil Spilled, July 08,  2013 

 <事故の状況> 
■  2013年7月7日(日)午後7時過ぎ、米国モンタナ州にある石油貯蔵タンクに落雷があり、火災となった。事故があったのは、モンタナ州マッスルシェル郡ラウンダップの北にある油井用の石油貯蔵施設で、火災によって2基の小型タンクが損壊した。

■ マッスルシェル郡災害・緊急時対応部署のコーディネータであるジェフ・ゲイツ氏によると、高速87号線とシップ通りが交差している所の近くにある石油貯蔵タンクに落雷があり、午後7時15分頃に火災が発生したという。火災によって小型タンクの2基が損壊し、内部の油が燃えてしまった。ゲーツ氏によると、タンク内の油はすべて燃え尽くし、土壌への汚染は無かったという。

■ マッスルシェル郡消防署のほか、隣接しているペトロリアム郡消防署とラウンダップの消防団が出動し、午後11時30分頃に火災は鎮火した。ゲーツ氏は、燃えているタンクより大きなタンクが近くにあり、消防活動が難しかったが、延焼を食い止めることができたといい、「油が一杯に入った大きい方のタンクを守ることができ、消防隊は実にいい仕事をしたよ」と語った。
 今回の事故では、消防署のほか、両郡の副保安官、ペトロリアム郡救急車の隊員が出動した。事故に伴う負傷者は発生しなかった。

■ マッスルシェル郡災害・緊急時対応部署のジェフ・ゲイツ氏は、7月8日(月)、火災が発生したとき、油井から生産される原油はタンクと接続されていたが、火災はタンクに限定できたと語った。さらに、ほかの構造物は火災で損壊していないと付け加えた。
(写真はKRTV.comから引用) 
(写真はKBZK.comから引用) 

補 足
モンタナ州 
■ 「モンタナ州」は米国西北部にあり、カナダと国境を接している州で、人口は約99万人である。陸地面積では全米第4位であるが、人口では少ない方から第7位、人口密度では小さい方から第3位である。東部では牧畜業、小麦農業、石油と石炭の採掘、西部では林業、観光業および岩石採掘業が盛んな州である。
 「マッスルシェル郡」は、モンタナ州中央部に位置し、人口は約4,500人である。隣接するペトロリアム郡は人口約490人である。
 「ラウンダップ」はマッスルシェル郡の郡庁所在地で、人口は約1,700人の町である。発災のあった石油施設はラウンダップの町から高速87号線を北へ上り、シップ通りと交差するところにある牧場の中にある油井施設である。
高速87号線とシップ通りが交差するところにある火災のあったと思われる石油施設
 (写真はグーグルマップのストリートビューから引用)

所 感
■ やはり、米国は落雷によるタンク火災の多い国である。2013年に入ってから今回で6件目の落雷によるタンク火災の事故情報を紹介したことになる。(取り上げなかった落雷タンク火災事故もあるので、実際に起こった件数はもっと多い) ただし、今回は落雷の多いメキシコ湾岸の州でなく、米国の中でも比較的落雷頻度が少ないモンタナ州で起こっている。落雷頻度については当ブログの「NASA(アメリカ航空宇宙局)による世界の雷マップ」(20126月)を参照。
■ もともと人口密度の小さいモンタナ州の広野の中で起こった落雷による石油タンク火災であり、事故の状況の情報は少ない。ほとんど一人(マッスルシェル郡災害・緊急時対応部署のジェフ・ゲイツ氏)からの情報によっており、写真を見てもよくわからない。燃えた量が50ガロンという情報もあったが、単位の間違いと思われ、引用しなかった。(注:50ガロン=189リットル)



後 記: 東日本大震災で爆発・火災事故のあったコスモ石油千葉製油所の液化石油ガスタンクの復旧工事が終ったそうです。7月18日に報道陣に公開されました。千葉日報によると、「点検のため水で満たされていたタンクが重量に耐えられず倒壊したことが事故の原因となったことから、新タンクは満水状態の重量でも耐えられる設計にした。建設費には約100億円を費やした。2011年6月から被災タンクの撤去に取りかかり、2012年1月から建設工事に着手、2013年4月完成し、検査を終えてこの7月中に本格稼働を始める。
 新タンクは容量1,600~5,000㎥の全13基で、総容量は30,000㎥である。現行の法令により各タンクの配置間隔が広がり、被災前に比べて4基減少し、総容量も2割減ったが、ニーズの低い種類のLPG(液化石油ガス)の貯蔵を減らすことにより、対応できるようにするという」
 法規制や官庁の指導事項が相当あったでしょうし、設計の見直しや資材の調達などいろいろな課題があったでしょうが、企業の復旧はさすがに速いという印象ですね。東日本大震災で被害を受けた東北各県の復興はなかなか進みませんが、何が違うのでしょうか。
2013718日公開された液化石油ガスタンクの復旧状況     右は201182日公開された被災状況 
(写真はChibanippo.co.jpおよびAsahi.comから引用) 

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