2012年6月26日火曜日

スロバキアの首都でドナウ川に油漏洩

  今回は、2012年6月12日、スロバキアの首都プラチスラヴァの港において油の出荷中に漏洩し、ドナウ川へ流入するという事故を紹介します。
本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
 ・BusinessGhana.com, Thousands of Liters of Oil Leak into Danube in Bratislava, June 12, 2012
 ・Spectator, Sme.sk, Oil Leaks into Danube River in  Bratislava , June 13 2012
 ・TheComingCrisis.Blogspot.jp, Thousands of Liters of Oil Leak into Danube in Bratislava, June 13, 2012
 ・Tasr.sk, Most of Diesel Removed from Danube River after Tuesdays Leak, June 13, 2012

<事故の状況> 
■  2012年6月12日(火)、スロバキアの首都ブラチスラヴァにある港で油が漏洩し、ドナウ川へ流出する事故が起こった。事故があったのは、ブラチスラヴァのウィンター・ポートにあるメイル・パレニスコ積替え用ターミナルで出荷中に漏洩したものである。
 漏洩したのはディーゼル油で、漏洩量は約13,600リットル(13.6KL)であった。 当初、スロバキアの通信社TASRの情報では、移送配管が損傷して、油が漏れたという話で報じられた。 また、油種についても油性の液体という不特定な情報で報じられたあと、原油という話もあった。
■ 12日火曜の早朝、船へ油を移送していた従業員からの緊急連絡を受け、事故に対応するため、消防車両19台と消防士39名が出動した。
 市の港管理組合は、港や川に浮いた油によるリスクを回避するため、港施設を一時的に閉鎖し、船の出入りを禁止する措置を行った。
■ 漏洩した油の量は17,000~30,000リットル(17~30KL)と伝えられたが、消防署の活動によってそのほとんどは港地区に限定することができたという。 しかし、量ははっきり分からないが、一部は港内からドナウ川やリトル・ドナウ川へ流れたという。
 Smeデイリー誌によれば、油はドナウ川だけでなく、支流のリトル・ドナウ川へも流出したが、ザレジー村近くのオイルフェンスによって止まったという。
■  TASRによると、漏洩は人為ミスによるもので、量は約13,600リットル(13.6KL)と発表された。 Smeによれば、漏洩した油のほとんどは回収され、環境への重大な影響にはつながらないという。


■ 一方、警察は、水質および大気汚染防止法違反の刑事事件として捜査を開始した。
 TASRによれば、容疑者が有罪判決を受ければ、罰金168,000ユーロ(1,680万円)、懲役1~5年の罪になるだろうと報じている。

補 足                                                         
■ 「スロバキア」は、正式には「スロバキア共和国」で、中央ヨーロッパの共和制国家である。ユーロ圏に属し、人口は約540万人である。 第一次大戦後、オーストリアとハンガリー帝国からチェコと合併する形で独立し、1989年チェコスロバキア共産主義支配が終わった後、1993年にチェコとスロバキアに分離独立した。 スロバキアは、北西にチェコ、北にポーランド、東にウクライナ、南にハンガリー、南西にオーストリアと接する。

 「ブラチスラヴァ」はスロバキアの首都で、人口約43万人、政治的、文化的、経済的にスロバキアの中心である。中世の塔のある古い町並みと近代的な都市を分けるように街の中央をドナウ川が流れている。 「ブラチスラヴァ」は大陸性気候で、国内で最も温暖な都市である。7~8月の平均最高気温が27℃、1~2月の平均最低気温が-2~-3℃である。

  「ブラチスラヴァ港」の南東方向に「スロブナフト製油所」がある。同製油所は1949年に建設され、年間5.5~6.0百万トン(11~13万バレル/日相当)の精製能力を有しているが、2000年以降、ハンガリーの石油・ガス会社MOLのグループ傘下となっている。
 今回の事例は、港の積替え用ターミナルから油の出荷中に漏洩事故を起こしたものであるが、港周辺に油貯蔵用タンクが確認できないので、おそらくスロブナフト製油所の貯蔵タンクから配管(パイプライン)で移送したものと思われる。
■ 「TASR」(Tlacova Agentura Slovenskai Republikv)は、スロバキアのニュース通信社で、一部公的な組織の情報機関である。 「Sma」はスロバキアの新聞社で、Spectatorのインターネット情報を出している。

■ 「ドナウ川」は、英語で「Danube」(ダニューブ)といい、独語で「Donau]である。ヴォルガ川に次いで欧州で2番目に長い川である。全長は2,860㎞で、ドイツ西部の森林地帯(黒い森)を源流に、オーストリア、スロバキア、ハンガリー、クロアチア、セルビア、ルーマニア、ブルガリア、モルトバ、ウクライナーの10か国を通って黒海に注ぎ込む。
 ドナウ川は、ブラチスラヴァの市域中心を西から南東方向へ向けて流れている。市の東部郊外で「リトル・ドナウ川」に分流し、再びドナウ川と合流する。「リトル・ドナウ川」はドナウ川と並行に流れ、約128㎞の長さである。

 ドナウ川の環境汚染事故としては、スロバキアより下流に当たるハンガリーで2010年10月に起きたアルミニウム工場から大量の赤泥廃液が流出した事例がある。この事故はアルミニウム精錬で発生した酸化鉄を主成分とする赤泥廃液を貯水する鉱滓ダムの堤防が決壊し、100万の赤泥廃液が流出し、周辺の町や村に流れ込んだほか、一部は70㎞離れたドナウ川へも流れ込んだ。赤泥廃液には、重金属や強塩酸基などの毒性および腐食性の高い物質が含まれており、多数の魚類の死骸が確認され、大きな環境汚染問題となった。
所 感
■ 今回の事例は、積替え用ターミナルから船に油を出荷する際に人為ミスで漏洩させてしまったものであるが、内陸地で川沿いの港というスロバキア特有の場所で起こった事故として興味深い。
 海の港湾施設とは違った様子である。昔の日本でも有効な交通手段として川や運河を使った船輸送があったが、スロバキアでは、この規模を大きくした形で運用されているという感じである。
 一部の報道によると、事故を起こした船はタグボートという情報もあったが、詳細はわからない。しかし、写真で紹介したようにブラチスラヴァ港で運行している船は底の浅い形式の船であり、海運とは違った操船の特殊性があると思われる。
■ スロバキアはまわりがすべて国境を接する国で、かつドナウ川という10か国を流れる川における流出事故ということで、事故の情報が広く流れたものと思うが、内容は乏しい。事故の内容も報道によって少し違っている。事故の翌日には、油はほとんど回収されたという記事になっているが、ドナウ川の下流のリトル・ドナウ川まで流れており、過去の油漏洩事故の状況から考えても、1日で回収が完了するとは思えない。おそらく、下流各国からの懸念を払拭させるために出された情報だと思われる。

後記; 今回の事故はタンクに直接関連した内容ではありませんでしたが、スロバキアという国で起こった稀な情報でしたので、紹介することとしました。島国の日本からすると、地続きでまわりがいろいろな国と接しているスロバキアという国に興味をもったからです。
 スロバキアとして分離独立した以降に生まれた平成生まれの人は違和感がないでしょうが、学校の地理で「チェコスロバキア」として習った私(たち)にとってはまだなじみがありません。もともと、ヨーロッパの中でも、スロバキアという国に関する知識が不足しているからですが。 しかし、以前、日本の首相が「チェコ」を訪問したときに、訪問国を「チェコスロバキア」と発言してひんしゅくを買ったといいますが、外交においては、このような失敗は許されないでしょう。












2012年6月20日水曜日

米国テキサス州のタンク施設で工事中の爆発、死傷者2名

今回は、2012年6月2日、米国テキサス州ヒューストンにあるオイルタンキング・パータナーズ社の石油基地で、構内において溶接作業を行っていたところ爆発が起こり、死者1名、負傷者1名の出た事故の情報を紹介します。

本情報はつぎのようなインターネット情報に基づいて要約したものである。
  ABCLocal.go.com, 1 Killed,Injured in Channelview  Explosion, June 4, 2012
  ・Chron.com, Channelview Plant Blast, June 2 2012
  ・Vbattorneys.com, Oiltanking Partners Plant in Channelview  Explodes, June 4, 2012
  ・SmithandHasslerBlog. com, Houston Personal Injury Attorneys, June 3, 2012

<事故の状況> 
■  2012年6月2日(土)、米国テキサス州ヒューストンにある石油施設で爆発があり、死傷者の出る事故が起こった。事故があったのは、ヒューストンのオイルタンキング・パートナーズ社のチャンネルビュー石油基地で、午前8時10分頃、構内において溶接作業を行っていたところ爆発が起こった。
■ この日、サウス・シェルドン道路近くのジェイシントポート通りにあるオイルタンキング・パートナーズ社の石油基地構内で働いていた作業者にとって、いつもと同じ平常な日になるはずだったが、溶接事故によって事情は一変した。
■ 当局によると、危険性物質は放出されておらず、火災の発生はなく、地元への環境や健康への影響はないという。
■ オイルタンキング・パートナーズ社によれば、亡くなった被災者はエル-コン建設の男性従業員(47歳)である。エル-コン建設はヒューストンに本社を置く独立系の請負会社で、構内に入って工事を行う協力会社であった。
 負傷した男性もエル-コン建設の従業員(26歳)であった。この男性のケガの程度はわからないが、病院へ搬送されている。 死傷した2名の氏名は公表されていない。
■ ABC放送は、発災場所から約100ヤード(90m)離れたところで、爆発を目撃した人から状況を聞くことができた。この目撃した人によると、“ボン”という音が聞こえたあと、足元の地面が揺れるのを感じたという。
 マック・マクレイントンさんは、「地面がドーンと揺れたよ。むこうに見えるタワーのあたりにいた人間はみんな感じたね。仲間の一人がそっちの方で働いていたので、心配になったよ」と語った。
■ オイルタンキング・パートナーズ社の広報担当から出された発表によると、「会社として“不幸な事故に遺憾の意を表し”、“現在、気にかかっていることは負傷された方の早い快復と、お二方のご家族のこと”です」と述べ、更につぎのように言っている。「石油施設は安全な操業を続けており、調査が終わり次第、事故に関する情報を公表する予定です」
■ 被災者が死亡したのは、溶接機の不良による偶発的な事故のためだと思われる。被災者が貯蔵タンクの近くで溶接作業を行っていたとき、不慮の事故が起こったと、ハリス郡保安官事務所の広報担当であるトーマス・ジリランド副所長は語っている。 負傷した被災者も同じ場所にいた。
 被災者の死因は上半身と頭部に大きな外傷を負ったことによると、ジリランド副所長は語った。
■ ジリランド副所長によると、調査はハリス郡消防署の管轄になったという。 OSHA(米国労働安全衛生局)が爆発について調査し、原因報告書をまとめることになると思われる。オイルタンキング・パートナーズ社と爆発時に関連していた会社も、同様に社内調査を行うことになるだろう。
■ チャンネルビュー緊急時対応部署がテレビ放送会社へ語った話によれば、配管の溶接作業していたところ、配管内のガスが引火し、午前8時頃に爆発したという情報もある。
■ オイルタンキング・パートナーズ社は、ヒューストンのチャンネルビューのほかビューモントに施設を保有し、原油、石油製品、液化石油ガスの貯蔵および輸送業務を行っている会社である。同社はオイルタンキング・グループの系列会社である。オイルタンキング・グループは、同社のウェブサイトによれば、石油製品、石油化学、石油ガス分野において世界で第2位の独立系貯蔵会社だという。


補 足                                                         
■ 「テキサス州」は米国南部に位置し、人口約25百万人で、州都はオースティンである。 「ハリス郡」はテキサス州の南東部にあり、人口約340万人である。
 「ヒューストン」はテキサス州ハリス郡の南部に位置し、人口約210万人で、テキサス州最大の都市である。石油産業によって発展してきたほか、NASA(アメリカ航空宇宙局)のジョンソン宇宙センターがあり、宇宙の街として知られている。

■ 「エル‐コン建設」(L-Con Constructors Company)は、テキサス州ヒューストンに本社を置き、石油精製、石油化学、電力、重工業、石油ターミナルなどの建設関連事業を行っている企業である。1968年以降、鉄鋼会社のレキシコン(Lexicon Inc.)の系列会社になっている。

■ 「オイルタンキング・パートナーズ社」(Oiltanking Partners L.P.)は、原油、石油製品、石油化学、石油ガスの貯蔵・輸送を専門に行い、2011年7月には株式上場した石油企業で、オイルタンキング・グループの子会社である。
 オイルタンキング・グループは、北米、欧州、アジア、中東、中米、南米など世界22か国に72の石油ターミナルを有し、その貯蔵能力は121百万バレル(1,920万KL)に達する。
 ヒューストンのチャンネルビュー石油基地は12百万バレル(192万KL)の貯蔵能力があり、タンクは62千KL×12基、48千KL×6基、32千KL×8基、15千KL×8基、12千KL×13基など合計63基を有し、入出荷用桟橋は13万DWTクラス×6基を持っている。

所 感
■ 今回の事故は、タンクの爆発でなく、溶接機の不良に起因する事故であると思われる。ただ、溶接機がどのような要因で爆発に関与したかは不明である。
 過去のタンク火災事故における原因としての工事ミスの内容は、「貯蔵タンク事故の研究」(当ブログでは2011年8月に紹介)によれば、「短絡」、「接地不良」、「変圧器の火花」という要因がある。しかし、これらはタンク火災につながった着火原因であり、今回のように溶接機の不良による爆発事故という事象は聞いたことがなく、極めて稀な事例だと思われる。
 しかし、タンク施設内における溶接作業は、極めて危険性の高い火気工事であり、作業マニュアルの安全性を確保するとともに、使用する資機材の機能確保の重要性を再認識させる事例である。ともすれば、以前から使っているから問題ないとしがちであるが、勝手な予断によって起こる事故は多く、資機材の正しい点検を行わなければならない。
■ オイル・メジャーが下流部門から撤退していく中で、貯蔵・輸送を専門とする会社の石油施設内で起こった事故であることに社会の変化を感じる。オイルタンキング・パートナーズ社は2011年7月に株式上場した会社で、このように石油精製・石油化学のプロセス装置を除いた石油物流企業が台頭してきている。
 日本でも、製油所の閉鎖が行われているが、石油物流という観点から貯蔵・輸送に関わる部門は継続される。このことから、タンクに関わる技術や安全性の継承は確実に行わなければならないといえよう。

後記; 先日、昨年度の日本アカデミー賞を独占した映画「八日目の蝉」を観ました。セミは何年も地下で過ごし、地上に出たあと7日間という短い寿命ということから、生き延びて8日目を迎えた蝉は一体何を見るのだろうという意味から付けられた題名です。原作は角田光代著の同名の小説ですが、主人公である娘の4歳まで育ててくれたお母さんが実は誘拐犯だったというサスペンス・ストーリーでなかなか重い内容です。映画では、大人になった主人公の現在と4歳までの過去の生活を交互に映像にしており、小説を読んでいない人(私)にとって面白い展開でした。
 小説は時間の流れに沿って書かれているそうで、映画として作った脚本が良かったと感じます。日本映画では、ややもすると間延びして情緒的すぎる展開が多いと思いますが、日本アカデミー賞では主演女優賞、助演女優賞を獲っており、この裏には一番の脚本ではなかったかと思います。ちなみに脚本は奥寺佐渡子さんです。映画(小説)が母性を扱った女性の強さを描いたものですが、現実にもいろいろな分野で優秀な女性が出てきましたね。









2012年6月14日木曜日

NASAによる世界の雷マップ

 前回は2012年4月27日、米国オハイオ州で落雷によると思われるタンク火災の情報を紹介しましたが、今回は要因である雷の発生頻度をまとめたNASA(アメリカ航空宇宙局)の雷マップを紹介します。

後記; 今回は、直接、タンク火災に関する事故情報でなく、要因である雷に関するNASAの情報を紹介しました。現在、NHKの日曜夜9時から「宇宙の渚」という科学番組をやっていますが、先日はこの中で「妖精」と名づけられた「スプライト現象」(Sprite)について取り上げていました。私たちが地上で体験する雷について宇宙ではどのように影響しているかNASAが調査している内容です。
 宇宙船に滞在した宇宙飛行士が、地上で雷が発生した際、宇宙空間では謎の閃光を目撃し、これが「スプライト」と名付けられました。雷雲の持っている電荷は地上では雷として発散されるように、宇宙空間ではスプライトという閃光を発して電荷が発散されているという話でした。
 この番組の中で、地球上で最も雷が多いのは中央アフリカであると言っていましたが、地域的に言うと、今回の雷マップで言及しているように中央アフリカのコンゴ民主共和国です。地上では、時として被害を与えている雷ですが、宇宙から見る雷光はフラッシュライトのようだと思いながら番組を見ていました。 











2012年6月11日月曜日

米国オハイオ州で落雷か静電気によるタンク火災

 今回は、2012年4月30日、米国オハイオ州スターク郡ウェインズバーグにある油井用の油貯蔵タンクが落雷または静電気によって爆発・火災を起こした事例を紹介します。

後記; 先日、太陽熱温水器システムの設計に関わることを調査・検討する機会がありました。この調査の過程で2つのことが印象に残りました。
 ひとつは、世界は自然エネルギーの活用を推進してきており、日本が太陽熱利用分野でも遅れてしまっていたということです。1980年代には、日本の家屋にも太陽熱温水器が普及していましたが、電力会社による夜間電力利用の給湯設備の売込みで次第に尻すぼみになっていきました。現在、太陽熱温水器の普及は中国が最も盛んで、ドイツなどの欧州が続いています。この分野でも、技術はドイツ、生産は中国という図式です。
 もう一つは、そのような状況の中でNEDO(新エネルギー・産業技術開発機構)では、太陽熱の日射量について全国規模で調査し、「日射量データベース」をまとめ、情報はインターネットで公開するという地道な仕事を進めていました。このデータは、元々は太陽光発電のために集積されたものでしょうが、太陽熱温水器システムの設計基礎データにもなります。このデータベースには感心しました。







2012年6月8日金曜日

米国ワイオミング州の石油施設でタンク火災

今回は、2012年4月27日、米国ワイオミング州コンバース郡ダグラスにある石油掘削会社のサムソン・リソース社の石油施設において起こった火災事故について紹介します。


後記; 我が家は周南緑地公園にある野球場の近くにあります。この周南市野球場は、昨年、改修して両翼100mに広げられ、電光掲示のスコアボードが新設されました。先日は、都市対抗野球大会の中国地方予選会が開催され、応援の声や太鼓の音が聞こえていました。都市対抗は応援合戦で有名ですが、応援団も予選会だったのでしょう.。昔からの「コンバットマーチ」や「狙いうち」などのほか、映画「レッドクリフ」のテーマ曲をアレンジした応援曲もあり、応援団も大変ですね。印象に残ったのは、「ハイ!ハイ!ハイ!ハイ!ヤマダ!」とマイクを通じて選手名を激励する女の子の元気な声でした。この分野でも、元気の良いのは女性ですね。







2012年6月1日金曜日

エジプトの石油施設でタンク爆発・火災

 今回は、2012年4月14日、エジプトのスエズ市にあるエジプト石油公社系列のエル・ナスル石油の製油所でタンクが爆発し、その後火災が拡大し、3日後にも爆発があった事故を紹介します。この事故では、死者2名、負傷者24名以上の被災者が出たほか、地元の学校や住民が避難する大きな事態になりました。


後記; 数年前に読んだ本ですが、最後の文章が印象に残り続けています。
 「もし、これから先、日本がゼロ成長を生きなければならないとすれば、それは世界の静かな中心になるためなのではあるまいか、と」
 これは、沢木耕太郎著の「危機の宰相」という池田首相とそれを支えた下村治氏のことを書いたノンフィクション小説の最終章の言葉です。
 最近、すでに高度成長時代は終わっているのもかかわらず、政治家が海外に行くと、大きなことを言ってしまう傾向がありますが、その度にこの「世界の静かな中心」という言葉を思い浮かべます。
 この言葉について沢木氏はつぎのように語っています。
 「下村の『高度成長論』が日本の勃興期を声高らかに宣言するものだったら、下村の『ゼロ成長論』は日本という国が成熟へ向かうべき時期が来たことを危機感を持って主張するものだった。下村の『ゼロ』はその内部に激しさを秘めた数字だった」
 この本を読んだときは、東日本大震災や東京電力福島原子力発電所の事故前でしたが、現在の脱原発や節電の必要な状況になったとき、危機感をもった「世界の静かな中心」という言葉が理解できると実感します。そして、日本人は「世界の静かな中心」として生きていくことができると思います。